大市民

大市民

『大市民』は、日本の漫画家・柳沢きみおによる漫画作品。作者自身がライフワークと称するエッセイ的作品で、特定のストーリーラインを持たず、作者の社会観、趣味、生活習慣などをユーモラスに描いています。1990年の連載開始以来、掲載誌を変えながら30年以上にわたり連載が続けられています。1997年には日本テレビの深夜枠でテレビドラマ化もされました。

あらすじ

主人公は、売れっ子小説家でありながら貧乏生活を送る山形鐘一郎。40代後半とは思えない体格と風貌で、近所では人気者ですが、小説家であることは隠しています。
ある日、山形はアパートの住人が酔いつぶれて倒れているのを介抱したことをきっかけに、アパートの住人たちと交流を深めていきます。隣の部屋に住む佐竹は、バブル崩壊で無一文になった元不動産会社社長。山形は、佐竹の部屋に家具もカーテンも何もないことに驚愕します。佐竹は山形の部屋に入り浸り、山形の貧乏生活を満喫するようになります。

登場人物

山形鐘一郎
主人公。40代後半の小説家。長身で鍛え上げられた肉体を持ち、時折それを披露する。人気小説家だが、その素顔は世間に知られていない。月収は400万円を超えるが、4人の妻と11人の子供を養っているため、自由に使えるお金は少ない。仕事場は4畳半のボロアパートで、自炊中心の生活を送る。ビールと寿司を愛する大食漢。クラシックカーを多数所有している。
佐竹直二
山形の隣の部屋に住む中年男性。元不動産会社社長だったが、バブル崩壊で無一文になった。浪費癖が抜けず、山形の家に入り浸る。山形とは腐れ縁の関係。
青木年男
山形と同じアパートに住む浪人生。失恋をきっかけにプロボクサーを目指す。
和田
山形と同じアパートに住むエリート銀行員。毎日の残業に疲れ果て、銀行を辞めることを考える。
柏山真子
山形が贔屓にしていた温泉宿の一人娘。温泉宿の廃業を機に上京し、山形と同じアパートに住む。後にカルト宗教にハマってしまう。
美子
愛人志望の女子高生。六本木で山形と出会い、山形を慕って同じアパートに住むようになる。
染野アキ
大市民Ⅱに登場。「銀座で一番魅力的なホステス」と呼ばれた元銀座のホステス。佐竹とも面識がある。バブル崩壊で多額の借金を抱え、隠遁生活を送るために山形と同じアパートに住む。山形や佐竹との交流を通じて、再び銀座に戻ることを決意する。
ヒロちゃん
大市民Ⅱに登場。援助交際で生活費を稼ぐ女性。山形と同じアパートに住んでいる。
山田
THE大市民、大市民日記に登場。山形の隣の部屋に住む銀行員。リストラを恐れて疲弊していたが、山形の言葉を受けて銀行を辞職。バーテンダー見習いとなる。
なっち
THE大市民、大市民日記に登場。山形の住むアパートの住人。花屋を開くための資金を貯めるために、ヘルス嬢として働いている。
片岡
大市民・番外編CLASSIC GARAGEに登場。山形鐘一郎の叔父。クラシックカー専門の修理工場を経営。

漫画シリーズ

大市民（第1シリーズ）
『アクションピザッツ』（双葉社）に連載。全10巻。
大市民Ⅱ（第2シリーズ）
ぶんか社より刊行。全2巻。原宿竹下通り裏手界隈が主な舞台。山形の年齢が50歳になり、以前のような超人的なキャラクターに陰りが見え始める。自殺を肯定する持論を述べるなど、やや暗めの作風。
THE大市民（第3シリーズ）
『ヤングマガジンアッパーズ』（講談社）に連載。全5巻。山形は世田谷区砧地域のアパートに引っ越してくる。
大市民日記（第4シリーズ）
『別冊[[漫画ゴラク]]』（日本文芸社）に連載。全6巻。山形の年齢は56歳から61歳。堀江貴文など、実名で批判される著名人が多数登場。
大市民語録（第5シリーズ）
『COMICジャンク』（あおば出版）に連載。全5話。
THE大絶叫市民（第6シリーズ）
『ネメシス』（講談社）に連載。漫画はなく文章のみ。
大市民 最終章（第7シリーズ）
双葉社より刊行。全1巻。大市民シリーズ完結編。
終活人生論 大市民晩歌（第8シリーズ）
『サンデー毎日』に連載。電子書籍版のみ。
大市民 がん闘病記（第9シリーズ）
『ビッグコミックオリジナル』にて連載中。山形が75歳となり、大腸がんの疑いがあると診断され、がん闘病をテーマとする。
スピンオフ作品 大市民・番外編CLASSIC GARAGE
双葉社より刊行。全1巻。本伝の主人公の叔父が主人公。

TVドラマ

1997年に日本テレビ系列のshin-D枠で全4回放送。

備考

柳沢きみおの連載エッセイ「なんだかなァ人生」には、『大市民日記』から今回の連載に至るまでの経緯が記載されている。

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