大年寺

大年寺の概要

大年寺（だいねんじ）は、宮城県仙台市太白区門前町に位置する黄檗宗の寺院で、山号は両足山です。太白区の茂ヶ崎エリアにあり、仙台城の城下町を見渡すことができる場所に存在します。本寺院の本尊は釈迦牟尼仏であり、施設は歴史的に重要な役割を果たしてきました。

位置と歴史的背景

大年寺の位置は、仙台市都心部の南側、長町地区の北側にあたります。以前は仙台市長町字茂ヶ崎という名称で知られていました。現在の住所は太白区茂ヶ崎一丁目です。過去の文献では「名取郡茂ヶ崎村根岸」として記載されていますが、これは大正時代に成立した資料に基づいているため、長町成立以前の状況を反映していると考えられています。

このエリアは広瀬川の右岸側にあり、近隣には青葉山や経ヶ峰、愛宕山といった歴史的な名所が並んでいます。大年寺山は、伊達家の墓所として特に重要な位置づけをされています。

創建の歴史

大年寺は、黄檗宗に帰依した仙台藩の第4代藩主伊達綱村によって創建されました。元禄8年（1695年）には、綱村自らが鍬を握り、新たな地を開きました。その後、元禄10年（1697年）には、綱村の舅である稲葉正則が開基の弘福寺から普応鉄牛を招いて開山式を行いました。

享保16年（1731年）には、伊達吉村の治世下で、黄檗宗本山である萬福寺を模倣した伽藍が完成しました。この時期には、惣門も建設され、現在も大年寺に残る唯一の藩政時代の建造物となっています。

伊達氏の菩提寺としての役割

建設以降、大年寺は伊達家の歴代藩主の菩提寺としての役割を果たしました。ただし、伊達周宗と伊達斉義の夫妻は臨済宗の瑞鳳寺に埋葬されています。大年寺はまた、黄檗宗日本三叢林の1つとも称され、200石の寺領と藩からの廩米17石を有していました。

明治維新以降の変化

明治維新以降、伊達家が仏葬から神葬に転換したことにより、大年寺は他の藩主家の寺院と同様に衰退していきました。この影響で、寺院内の廟門や額、さらには仏具に至るまでが売却され、寺は縮小していく運命をたどりました。他の藩主家の支援を受けていたため、この変化は寺院の存続に深刻な影響を及ぼしました。

現在の大年寺

現在、大年寺の本堂はかつての門前町の南東側の麓に移設されましたが、霊園はかつての大年寺山頂地区にそのまま残っています。このように、大年寺はその歴史を紡ぎながら、地域の信仰の場として存在し続けています。

参考文献

• - 「大日本寺院総覧」（堀由蔵・名著刊行会・1974年）
• - 「日本歴史地名大系・第4巻・宮城県の地名」（平凡社・1987年）

大年寺の歴史は、単に寺院の発展だけでなく、伊達家の歴史とも深く結びついており、地域に根ざした文化と信仰が息づいています。

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