大慶寺 (鎌倉市)

大慶寺（たいけいじ）

大慶寺は、神奈川県鎌倉市に位置する臨済宗円覚寺派の寺院です。霊照山と号し、本尊は釈迦如来です。その歴史は古く、鎌倉時代後期に創建されたと伝えられています。

歴史

創建と発展

大慶寺は、弘安年間（1278年～1287年）に創建されたとされています。当初は現在の場所よりも南東、現在の鎌倉市立深沢中学校付近に位置していました。創建後、無象静照や秋澗道泉といった名僧が住持を務め、寺は発展しました。1356年（延文元年）には傑翁是英が、大慶寺開山塔方外庵の塔主となり、翌年には大慶寺の住持となりました。この頃には、関東準十刹に列せられるほどの影響力を持っていました。

1386年（至徳元年）には、関東十刹に列せられ、鎌倉幕府や室町幕府の禅宗保護政策のもと、大きく発展しました。最盛期には、方外庵、指月庵、覚華庵、天台庵、大堂庵、本光庵といった多くの塔頭が建ち並び、薬師堂や地蔵堂も設けられました。寺域は深沢周辺に広大な範囲を誇り、その名残として、現在でも周辺一帯は「寺分」という地名で呼ばれています。この地名は、「大慶寺の寺域」に由来しており、往時の寺の規模を物語っています。

戦乱と衰退

しかし、大慶寺は度重なる戦乱に見舞われました。1512年（永正9年）には、北条早雲の軍勢によって寺は焼き払われ、翌年には仏殿や総門が風で倒壊するなど、荒廃が進みました。1549年（天文18年）には、奇文禅才が住持となり復興に尽力しましたが、1560年（永禄3年）から1561年（永禄4年）にかけての上杉謙信の鎌倉侵攻（小田原城の戦い）の影響を受け、本尊をはじめとする諸像を円覚寺に退避させるなど、戦乱によって次第に衰退していきました。

廃寺と再興

1841年（天保12年）に成立した『新編相模国風土記稿』には「大慶廃寺」と記載されており、江戸時代後期には廃絶していたと考えられています。しかし、1943年（昭和19年）に大慶寺の塔頭であった「方外庵」を大慶寺と改称し、現在に至っています。

寺宝

大慶寺には、以下のような貴重な寺宝が所蔵されています。

市指定重要文化財
本尊 木造釈迦如来坐像（附 胎内銘札二枚）
鎌倉時代の石造宝塔2基
市天然記念物
樹齢700年と伝わるビャクシンの木2本
その他
大慶寺開山大休正念木像
方外庵開山秋澗道泉木像
前住職鎌田茂雄の墓

本尊について

本尊の木造釈迦如来坐像は、二代目にあたります。初代の本尊は、北条早雲の焼き討ちにより頭部以外を失い、その後胴体を修復した上で円覚寺に退避されましたが、1563年（永禄6年）に円覚寺の火災で焼失してしまいました。現在の本尊は、1567年（永禄10年）に仏師快円によって作られたものです。

アクセス

湘南モノレール「湘南深沢駅」より、徒歩約5分の場所に位置しています。

脚注

参考文献

参考文献

かまくら子ども風土記 鎌倉市教育センター
鎌倉古社寺辞典 吉川弘文館 ISBN 9784642080606
鎌倉の寺社122を歩く PHP新書 ISBN 9784569810355
鎌倉観光文化検定公式テキストブック かまくら春秋社 ISBN 9784774005386
竹貫元勝「鎌倉の禅寺散歩」慶友社、2001年 ISBN 4-87449-230-4
「深澤庄 寺分村」『大日本地誌大系』 第40巻新編相模国風土記稿5巻之105村里部鎌倉郡巻之37、雄山閣、1932年8月。NDLJP:1179240/89。
「深澤庄 寺分村 大慶寺蹟」『大日本地誌大系』 第40巻新編相模国風土記稿5巻之105村里部鎌倉郡巻之37、雄山閣、1932年8月。NDLJP:1179240/90。

関連項目

関東十刹
鎌倉市内の寺院一覧

外部リンク

* 大慶寺～鎌倉～

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