大手町ビル

大手町ビルヂング：歴史と革新が融合するオフィスビル

大手町ビルヂングは、東京メトロ大手町駅に直結し、東京都千代田区大手町一丁目に位置する、三菱地所が所有するオフィスビルです。1958年の竣工以来、その巨大な規模と先進的な設計で注目を集めてきました。2022年5月には屋上庭園「大手町ビルスカイラボ」がオープンし、大規模リノベーションが完了しました。

建設の背景と特徴

高度経済成長期の好況を背景に、丸の内のビジネスエリアとしての優位性を高めるため、大手町ビルヂングは建設されました。建設は大成建設が担当し、当時としては東洋一のマンモスビルとして開業しました。

特徴的な設計

1. 広域高圧変電所の設置: 地下には東京電力の広域高圧変電所が設置されました。
2. コアシステムの採用: アメリカ式のコアシステムを初めて採用し、エレベーターや階段、通路などの設備を中央部に集中させ、オフィススペースを最大限に確保しました。これは、不整形な敷地を有効活用するための革新的な手法でした。
3. 全館冷房設備の導入: 当時はコスト面から見送られることも多かった全館冷房設備を導入し、快適なオフィス環境を実現しました。
4. 地上9階建ての実現: 当時の建築規制をクリアしながら、経済性を追求し、地上9階建てのビルを実現しました。

リノベーションによる再生

竣工から時を経た大手町ビルヂングは、現代のニーズに合わせて大規模なリノベーションが行われました。

リノベーションの目的

三菱地所は、建て替えではなく、既存の建物の価値を最大限に活かすことを選択しました。リノベーションにより、フィンテック関連企業やベンチャー企業、スタートアップ企業を誘致し、大手企業との協業を促進する拠点としての役割を担うことになりました。

リノベーションのポイント

外装改修: 水平垂直に組まれたフレームで覆い、統一感を持たせつつ、大名小路には煉瓦タイル、日比谷通りには皇居石垣をモチーフとしたデザインを採用し、周辺の街並みとの調和を図りました。中央部は透明なカーテンウォールとし、丸の内仲通りとのつながりを強調しました。
LABゾーンの設置: ビル東側を「LABゾーン」と位置づけ、オープンイノベーションのためのコラボラティブスペース「Inspired.Lab」を開設しました。また、会員制FinTech集積拠点「FINOLAB」を拡張し、イノベーション拠点を整備しました。
屋上庭園「大手町ビルスカイラボ」の整備: これまで利用されていなかった屋上空間に、約4000㎡の屋上庭園が整備されました。ワークスペース、農園スペース、大手町観音スペースなどが設けられ、都市の中の憩いの場として利用できます。また、屋上に安置されていた「大手町観世音菩薩像（大手町観音）」は、リノベーションを機に一般の来館者も参拝できるようになりました。

主な入居企業と店舗

大手町ビルヂングには、多くの企業や店舗が入居しています。特に、フィンテック関連やスタートアップ企業が多く、新たなビジネスチャンスを創出する場となっています。

店舗例

1階: 各種店舗
地下1階: 天鴻餃子房、素材屋大手町ビル店
地下2階: 各種店舗

アクセス

大手町ビルヂングは、東京メトロ丸ノ内線大手町駅に直結しており、地下2階部分は半蔵門線、千代田線ともつながっています。特に丸ノ内線改札からは、乗り換え客がビル内を通過するケースも多く、利便性の高い立地となっています。

まとめ

大手町ビルヂングは、その歴史的な背景と現代的なリノベーションによって、新たな価値を生み出しました。ビジネス拠点としての役割だけでなく、地域社会への貢献も目指しています。今後も大手町エリアの発展に貢献していくことでしょう。

参考資料

森喜則、今吉賢一『ビル紳士録』毎日新聞社、1992年9月。ISBN 978-4620308852。
三菱地所株式会社社史編纂室編『丸の内百年のあゆみ 下巻 三菱地所社史』三菱地所、1993年。
『新建築』新建築社、2021年3月。

外部リンク

大手町ビル - 三菱地所オフィス情報
* 大手町ビル商店会

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