大智院 (佐世保市)

大智院（だいちいん）

長崎県佐世保市戸尾町に位置する真言宗大覚寺派の仏教寺院で、同派の別格本山です。山号は黒髪山（くろかみさん）で、地元では「黒髪山」の名で広く知られています。佐世保市の中心部に近い高台にあり、静かで落ち着いた雰囲気が漂います。

概要

大智院は、毎年1月の最終日曜日に行われる節分大祭が有名です。この祭では、佐世保市で唯一の恒例行事として「火渡り」が執り行われ、多くの参拝者で賑わいます。古くは、武雄鍋島藩主の御祈願所として栄え、京都の旧嵯峨御所大覚寺宮との関係も深く、歴史的に重要な役割を果たしてきました。

しかし、肥前地方が佐賀県と長崎県に分断されたため、その歴史的背景については未だ研究が十分に進んでいない領域も多いとされています。これは、大智院の歴史をさらに深く理解するための今後の課題と言えるでしょう。

歴史

大智院の開基は弘法大師空海と伝えられています。空海は遣唐使として唐へ渡る際、肥前国（現在の佐賀県武雄市山内町）の黒髪山大権現に留学の成就を祈願しました。帰国後の806年（大同元年）、その満願成就を報告する際に自ら不動像を爪で刻み、弟子快護に託して山内に庵を建てさせたのが、寺の起源とされています。

1645年（正保2年）には、当時の住職尊覚が京都大覚寺門主の尊性法親王に招かれ、書講を行いました。その功績により、大覚寺の塔頭「大智院」を下賜され、以来、当寺の住職は「院家」と呼ばれるようになりました。その名前は「和漢三才絵図」にも記載されています。

往時には約80もの末寺を抱えるほど、肥前地方で大きな勢力を持っていましたが、1878年（明治11年）の大火により堂宇の大部分を焼失しました。その後、佐世保鎮守府の開設により人口が急増していた佐世保への移転が計画され、1908年（明治41年）に現在の地に移転しました。戦時中から戦後にかけて一時衰退しましたが、社会情勢の安定と共に寺運も回復し、2006年（平成18年）には開創1200年を迎え、記念法要が盛大に執り行われました。

「別格本山黒髪山大智院開創1195年記念」の冊子では、三本尊や仏像類、掛け軸、古文書などが公開され、その中には無銘の梵鐘（十六弁菊紋入り）や、京都真言宗大覚寺宮から下賜された「院家兼帯之令旨」など、歴史的価値の高い品々も含まれています。

アクセス

佐世保市営バス「黒髪山上」バス停、または西肥バス・佐世保市営バス「戸尾町」バス停から徒歩でアクセスできます。また、佐世保駅からは徒歩約10分です。

外部リンク

黒髪山大智院

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