大木英夫 (歌手)

大木 英夫

大木 英夫（おおき ひでお）は、1943年に生まれ、2010年3月25日にこの世を去った日本の男性歌手です。本名は佐藤政穐（さとう まさあき）といい、宮城県石巻市の出身でした。

経歴

1965年、大木英夫氏は「酔どれギター」で歌手としてのキャリアをスタートさせました。このデビュー曲は、彼が師事した著名な作曲家である遠藤実の門下から、ミノルフォンレコードより発表されました。奇しくも、後の人気歌手となる千昌夫氏や三船和子氏とは同期にあたります。

彼の活動において特筆すべきは、他の歌手とのデュエットによるヒット曲です。1967年、彼は歌手の津山洋子とコンビを組みました。二人のデュエットシングル「新宿そだち」は、作詞を別所透、作曲を遠藤実が手掛け、その年の9月10日にリリースされるや否や大きな反響を呼びました。この楽曲は、当時の歌謡曲としては異例の160万枚という驚異的なセールスを記録し、オリコン週間チャートでは最高7位にランクインする大ヒットとなりました。しかし、この成功にもかかわらず、津山洋子とのデュエット活動はその年内に解消されています。その後も、1968年には津山洋子との共演シングルとして「雨の新宿」が発表されています。

1971年には、新たに歌手の二宮善子とのデュエットに取り組みました。同年1月10日にリリースされたシングル「あなたまかせの夜だから」は、作詞：青江ひとみ、作曲：野村旬平という布陣で制作され、こちらも70万枚という大きなセールスを記録するヒットとなりました。オリコン週間チャートでは最高8位を獲得し、大木英夫氏のデュエット歌手としての人気を確固たるものとしました。二宮善子とのコンビでは、同年に「あなたと私の街だから」がリリースされた他、「夕陽のふるさと」「センチメンタル東京」といった楽曲も発表されています。

ソロ歌手としても活動を続け、デビュー曲「酔どれギター」の他に、1977年には「ジョンガラロック」、1978年には日本の著名な民謡をメドレー形式で歌った「民謡ゴチャゴチャ -北廻り-」といったユニークな楽曲もミノルフォンレコードから発表しています。

また、歌手活動と並行して、俳優としてテレビドラマに出演した経験もあります。NET（現在のテレビ朝日）系列で放送されていた刑事ドラマ「特別機動捜査隊」には、1967年放送の第322話「寒いクリスマス」と、1969年放送の第421話「東京の流れの中で」（北川役）にゲスト出演しました。

主な作品（シングル）

酔どれギター（1965年）- デビュー曲。
ジョンガラロック（1977年11月）
民謡ゴチャゴチャ -北廻り-（1978年）- B面は「-南廻り-」。

津山洋子とのデュエット作品

新宿そだち（1967年9月10日）- 作詞：別所透、作曲：遠藤実。オリコン週間チャート最高7位。
雨の新宿（1968年12月1日）- 作詞：別所透、作曲：遠藤実。

二宮善子とのデュエット作品

あなたまかせの夜だから（1971年1月10日）- 作詞：青江ひとみ、作曲：野村旬平。オリコン週間チャート最高8位。
あなたと私の街だから（1971年7月20日）- 作詞：青江ひとみ、作曲：野村旬平。
夕陽のふるさと - 作詞：青江ひとみ、作曲：野村旬平。
* センチメンタル東京 - 作詞：青江ひとみ、作曲：野村旬平。

死去

大木英夫氏は、2010年3月25日にすい臓がんのため、67歳でその生涯を閉じました。数々のヒット曲、特にデュエットソングを通じて、昭和の歌謡シーンに確かな足跡を残した歌手でした。

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