青江ひとみ

青江ひとみ（あおえひとみ）は、1951年9月8日に宮崎県小林市に生まれた日本の作詞家・作曲家です。本名は八反英一（はったん えいいち）。実父は元クラウンレコード専属作詞家の八反ふじを、実妹は元クラウンレコード専属歌手の八田富子、そしてJ-POPシンガーの八反安未果は姪にあたるなど、音楽一家に育ちました。

高校時代から歌謡同人誌『新歌謡界』で本格的に作詞を学び始めました。卒業後は音楽大学への進学を志望していましたが、中学校から始めたピアノは実技試験のレベルには遠く及ばず、進学を断念するに至りました。その後、日中は大手芸能プロダクションで新人歌手の指導にあたり、夜は主に銀座や新宿のナイトクラブでピアノ弾き語りなどのアルバイトをして生計を支えました。その傍らで作品を創作し、コロムビア、テイチク、日本クラウン、CBSソニーなど、各レコード会社への売り込みに奔走する日々を送りました。特に、当時の銀座でホステスと客の間に流行していた言葉「貴方まかせのよるだから」が、後のヒット曲の重要なフレーズの着想源となったことはよく知られています。

1971年、徳間音楽工業よりリリースされた都会的なデュエット曲「あなたまかせの夜だから」（大木英夫・二宮善子）がヒットを記録しました。この成功を機に、作詞家・作曲家としての地位を確立しました。

1980年代に入ると、音楽プロデューサーとしても活動の幅を広げます。1980年には、国内におけるガールズバンドの先駆者とされる「J・ロネッツ」などを擁するロック系音楽事務所「POP」に制作担当として参加し、当時まだ黎明期にあったマイナーレーベル事業への参入を目指し、自ら「エルムレコード」を設立しました。1987年には、学校法人東京レコーディングスクールからの招聘に応じ、同校のプロダクション部門「プロフェッショナル・オフィス」に制作担当役員として就任しています。

1988年、東京レコーディングスクールの経営破綻を機に、親交のあったタイの著名音楽プロデューサー、MR.PAT氏（THAI CAST）の助言と協力を得て、活動拠点をタイ王国に移す決断をします。タイでは、現地の人気ロックバンド「バッドガイズ」への楽曲提供（タイ語歌詞を含む）をはじめ、若手ソングライターへのDTM指導、人気女優の歌唱指導、カラオケDVD制作指導など、音楽に関わる幅広い分野で活動を展開し、異国の地で新たな経験を積みました。

2000年に個人的な事情により帰国。帰国後間もなく、現役の医師でありながら地道な芸能活動を続けるドクター林氏と出会い、彼のプロモーションを主な目的とする芸能プロダクション「ドクター林事務所」を設立、取締役に就任することで日本の音楽・芸能業界に復帰を果たしました。

また、演歌歌手・藤圭子を世に送り出したことなどで知られる作詞家・プロデューサーの石坂まさをとは、作詞同人誌『新歌謡界』での先輩後輩という間柄で長年にわたり親交を結びました。石坂氏が藤圭子のプロモーションのために設立した事務所のキャンペーンにスタッフとして関わった経験もあります。青江氏が1990年頃に海外へ活動拠点を移したことで一時的に交流は途絶えましたが、2000年の帰国を機に再開。石坂氏が2013年に亡くなる直前までその交流は続きました。

主な作品には、ヒット曲「あなたまかせの夜だから」のほか、「あなたと私の街だから」、「センチメンタル東京」（いずれも大木英夫・二宮善子）、「小さなさよなら」（八田富子）などがあります。作曲家としては、「山国川慕情」（笹みどり）や、ドクター林への提供曲である「健康げらげら音頭」、「お医者サンバ」、またタイで発表されたBAD GUYSの「DUMP MATSUMOTO」など、ジャンルを超えた楽曲を手がけています。故郷である宮崎県の三股町の楽曲「三股町ばやし」「三股町讃歌」の作曲も担当しました。

現在、青江氏は日本音楽著作権協会会員、日本作詩家協会会員、日本歌謡文化振興会特別相談役、日タイ交流協会事務局長、ドクター林事務所取締役を務めています。

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