大村市立大村小学校

長崎県大村市玖島一丁目に所在する公立小学校です。その歴史は古く、1873年（明治6年）に大村藩の藩校であった「五教館」の校舎の一部を活用し、「玖島小学校」として産声をあげました。

沿革

創立は1873年4月15日とされ、同年7月には「第五大学区第三中学区玖島小学校」として正式に開校しました。当時の児童数は男子120名、女子60名の計180名でした。開校間もない1874年（明治7年）には、裏町に開校した琴浦小学校を統合しています。学校名はその後幾度か変更され、1882年（明治15年）には「玖島学区公立中等玖島小学校」となりました。

1884年（明治17年）には、教育体制の変更に伴い、男子校と女子校に分かれ、「大村学区公立中等大村小学校」（男児校）と「大村学区公立中等大村女児小学校」が誕生しました。しかし、1886年（明治19年）9月に小学校令が施行されると、両校は再び統合され、「尋常大村小学校」と改称。この頃、大村（村）と大村町による組合で運営されていました。また、これとは別に「第十一高等小学校」も設置されています。

1887年（明治20年）3月には尋常池田小学校を統合し池田分舎としましたが、1889年（明治22年）9月には再び分離し、尋常池田小学校として独立しています。

1892年（明治25年）7月の小学校令改正を経て「大村尋常小学校」と改称。同年10月には第十一高等小学校が廃止され、新たに「大村町四ヶ村組合立大村高等小学校」が設置されました。この組合はその後、三浦・鈴田（1899年脱退）、西大村（1900年脱退）が離脱し、「大村町大村組合立大村高等小学校」へと規模を縮小していきます。

1904年（明治37年）4月1日、運営組合が解消されたことに伴い、大村（村）と大村町それぞれに尋常高等小学校が設置されることになりました。旧・大村尋常小学校の校舎を使用し「大村尋常高等小学校」（尋常科4年・高等科4年）が、旧・大村高等小学校の校舎を使用し「大村町尋常高等小学校」（尋常科4年・高等科4年）が誕生しました。

1909年（明治41年）4月の小学校令一部改正により義務教育期間が6年に延長され、両校の修業年限も尋常科6年・高等科2年に改められます。1923年（大正12年）4月、長崎から大村へ移転してきた長崎県師範学校男子部の附属小学校となるため、大村町尋常高等小学校は発展的に廃止されました。1925年（大正14年）4月には、大村（村）と大村町が合併して新しい大村町が発足したため、大村尋常高等小学校は大村町立となりました。同年12月には長崎県師範学校の代用附属小学校となります。

1933年（昭和8年）4月、大村尋常高等小学校は「大村尋常小学校」と「大村高等小学校」に再び分離しました。1934年（昭和9年）4月には、長崎県師範学校男子部と女子部の校地交換に伴い、長崎県女子師範学校（後の長崎県女子師範学校）の代用附属小学校となります。

太平洋戦争中の1941年（昭和16年）4月1日、国民学校令が施行され「大村町大村国民学校」に改称。尋常科は初等科、高等科は高等科となりました。同年5月には「大村町第一国民学校」、1942年（昭和17年）2月の市制施行により「大村市第一国民学校」と改称。同年4月には分離していた高等科校舎を初等科校舎に統合しました。1943年（昭和18年）3月には長崎県女子師範学校の国立移管に伴い、代用附属の指定が解除されます。同年4月には「大村市大村国民学校」に改称しました。1944年（昭和19年）4月には三城国民学校（現・大村市立三城小学校）の開校に伴い、学区の一部が変更されています。

終戦後、1947年（昭和22年）4月1日に学制改革（六・三制）が実施され、旧国民学校の初等科が改組されて現在の「大村市立大村小学校」が発足しました。旧国民学校の高等科と青年学校の普通科は統合され、小学校に隣接する形で大村市立大村中学校が併設されました。1949年（昭和24年）4月には学区変更により一部地域が三城小学校へ編入されています。

教育環境の整備も進み、1954年（昭和29年）4月には長崎大学学芸学部の移転に伴い、大村市下久原にあった附属小学校と合併しました。1955年（昭和30年）9月には完全給食が開始され、1976年（昭和51年）12月には米飯給食が導入されています。2013年（平成25年）8月からは大村市小学校給食センターでの一括調理方式となりました。

特別支援教育への取り組みも早く、1958年（昭和33年）4月には国立大村病院内に虚弱児を対象とした養護学級が設置され（現・長崎県立大村特別支援学校）、1962年（昭和37年）4月には校内に養護学級が開設されました。その後、言語障害児学級（1974年5月）、情緒障害児学級（1977年5月）、肢体不自由特別支援学級（2012年4月）が順次開設されています。

校舎の近代化も図られ、1959年（昭和34年）3月には鉄筋2階建ての新校舎が完成。1965年（昭和40年）には本館とプールが完成しました。体育館は1972年（昭和47年）3月に完成しています。

児童数は増加傾向をたどり、1980年（昭和55年）4月には最大の1,324名を記録しました。これに対応するため、1981年（昭和56年）4月には大村市立旭が丘小学校が新設・分離されています。

学校の沿革としては、分校の設置と独立・廃止も見られます。1946年（昭和21年）4月に大多武分教場を設置、学制改革で大多武分校となり、1959年（昭和34年）4月には大村市立東大村小学校として独立しました。また、1960年（昭和35年）4月には大村市立西大村小学校より箕島分校が移管されましたが、長崎空港建設に伴い1972年（昭和47年）3月に廃止されています。

1973年（昭和48年）には創立100周年を迎えました。その後も、1988年（昭和63年）の二宮金次郎銅像再建、1998年（平成10年）のパソコン室設置、1999年（平成11年）の中庭芝生広場完成、2010年（平成22年）の太陽光パネル設置など、教育環境の整備が進められています。

校訓・校歌

本校の校訓は「夢・元気・輝き」です。校歌は1929年（昭和4年）2月20日に制定され、高見未一氏が作詞、伊藤英一氏が作曲を手がけました。3番までありますが、歌詞の中に学校名は登場しません。

敷地内の特徴

学校の敷地内には、かつて大村藩の藩校であった五教館の「御成門（ごせいもん）」が保存されています。この門は通称「黒門」として親しまれており、長い歴史を持つ本校のシンボルとなっています。

アクセス・周辺

最寄りの鉄道駅はJR九州の大村駅です。バスを利用する場合は、県営バス大村市内線の「市役所前」バス停が便利です。また、付近には国道34号が通っています。

周辺には大村市役所や大村玖島郵便局などの公共施設、歴史的な大村公園・玖島城跡があります。教育関連施設としては、長崎県教育センター、大村市立大村幼稚園、大村市立玖島中学校、長崎県立大村高等学校、長崎県立大村城南高等学校などが近隣に位置しています。

なお、全国には本校と同名の「大村小学校」が岩手県雫石町、茨城県筑西市、愛知県豊橋市、福岡県豊前市などに存在します。

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