大東糖業

大東糖業株式会社

大東糖業株式会社は、沖縄県那覇市に本社を構え、主に沖縄県島尻郡南大東村（南大東島）において、サトウキビを原料とした製糖事業を展開する企業である。南大東島における製糖業は、同島の主要な産業の一つであり、その歴史と発展に深く関わっている。

概要

南大東島におけるサトウキビ栽培の歴史は古く、1900年（明治33年）の開拓開始とともに始まった。戦前には、玉置商会や東洋製糖、大日本製糖といった企業が島で製糖を手掛けていた。

しかし、太平洋戦争により、沖縄各地の製糖関連施設は壊滅的な被害を受けた。戦後の占領下では、アメリカ軍政府が食料不足に対応するためサツマイモなどの食料作物の栽培を強く推奨した結果、さとうきびの作付けは一時的に大きく減少した。

このような状況の中、昭和22年（1947年）、当時の沖縄民政府（後の琉球政府）工業副部長であった宮城仁四郎氏は、サツマイモと大豆の輪作だけでは病虫害や連作障害のリスクが高く、農家の現金収入も限られる状況を憂慮し、「沖縄糖業復興の急務について」と題する意見書を軍政府などへ提出した。これは、戦後沖縄における糖業再建に向けた重要な提言であった。

これに対し、軍政府は沖縄本島での糖業再建は食料生産を圧迫するとの懸念から難色を示したが、人口が少なく、戦前から糖業が活発に行われていた南大東島であれば再建が可能ではないかとの代替案が示された。この提案が契機となり、南大東島における戦後糖業復興への道筋が具体化した。

設立と発展

軍政府の提案を受け、昭和23年（1948年）に大東糖業株式会社が発足。戦後初の製糖会社として、1950年（昭和25年）9月27日に正式に設立された。工場の建設にあたっては、戦前からの大日本製糖の施設で焼け残った機械が活用され、同年10月13日に建設に着手した。

そして、翌1951年（昭和26年）3月15日（一部資料では3月14日）には、黒糖の生産が開始された。さらに、1952年（昭和27年）3月25日からは、より精製された分蜜糖の生産も始まり、事業内容が拡充された。

その後、島の糖業需要の増加に対応するため、設備投資が進められた。1967年（昭和42年）には工場が増設され、原料サトウキビの圧搾能力が日量850トンに向上した。

近代化と現状

設立以降、大東糖業は効率化と近代化を進めてきた。1971年（昭和46年）には、サトウキビ収穫作業の効率化を図るため、オーストラリアからケーンハーベスターが導入された。長年、原料輸送を担ってきた鉄軌道は1983年（昭和58年）に廃止され、翌1984年（昭和59年）からはトラックによる運搬体制に移行。いすゞフォアードのサトウキビ運搬車30台が導入され、1998年（平成10年）には日野レンジャー30台へと更新された。

農業支援体制も強化されており、2000年（平成12年）にはアグリサポート南大東株式会社を設立し、サトウキビ農家への支援活動を開始した。設備の更新も継続的に行われ、2004年（平成16年）にはボイラー・タービンが新設されている。

組織としての体制も整備が進み、2015年（平成27年）には本社新社屋が完成した。近年も設備投資は活発であり、2018年（平成30年）に秤量所2箇所を移転・新設して設備を強化。2019年（令和元年）には製品倉庫が拡張され、容量が従来の2000トンから3000トン以上に増加した。2020年（令和元年）には前処理設備が落成し、2021年（令和3年）には圧搾機および圧搾建屋が更新されるなど、生産能力と効率の向上を図っている。最新の取り組みとして、2023年（令和5年）には原料受け入れの無人化が実施された。

現在の主な生産能力は、原料ヤード容量が3000トン、圧搾量が日量1000トン、原料糖生産量が日量110トンとなっている。

事業所

所在地: 〒901-3805 沖縄県島尻郡南大東村字在所182番地

関連項目

大東糖業南大東事業所の砂糖運搬専用軌道

外部リンク

* 大東糖業株式会社公式ホームページ

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