大東隆行
大東隆行(おおひがし たかゆき、
1941年3月8日 -
2013年12月19日)は、日本の
実業家であり、株式
会社王将フードサービスの元代表取締役社長です。大阪府出身で、
王将社長射殺事件の被害者としても知られています。
人物
大東氏は、関西経理専門学校を中退後、薪炭・氷販売業を経営していました。その後、義兄である加藤朝雄が1967年に創業した「
餃子の王将」1号店に1969年に入店しました。1978年には営業本部長、1995年には副社長を経て、2000年に4代目社長に就任しました。
当時、王将フードサービスは約460億円の負債を抱え、経営難に陥っていました。大東氏は社長として、2007年頃から債権回収を開始し、前社長時代の約260億円以上の不正流出金を発覚させ、170億円を未回収のままにしました。経営再建のため、陣頭指揮を執り、
会社の立て直しに尽力しました。
大東氏の経営者としての特徴は、その現場主義と従業員を大切にする姿勢でした。毎朝6時前には出社し、自ら
会社の
玄関を開け、
玄関や
駐車場を掃除し、散水を行っていました。また、昼にはトイレ掃除も行い、その理由を「従業員には綺麗な
会社で気持ちよく働いてもらいたいから」と語っていました。さらに、「本社の
玄関が汚かったら、店に行ったときに『汚い』と指摘できない」とも述べており、自らが率先垂範する姿は、従業員たちに大きな影響を与えました。
社長専用車はありましたが、運転手を付けずに自ら運転していたといいます。直営店の店長300人以上の名前だけでなく、
フランチャイズ店のオーナーの名前もすべて記憶し、本部の室内の壁には全員の顔写真を貼っていました。社員の
誕生日には自ら選んだ自己啓発本を、社員の
配偶者の
誕生日には花束を贈呈していたそうです。従業員一人一人を大切にする姿勢は、多くの社員に慕われる理由でした。
また、大東氏は地域貢献にも積極的でした。2012年には、スタミナを付けるために
餃子の王将を利用していた京都橘高校の
サッカー部部員たちが全国高校
サッカー選手権大会で準優勝したことを称え、学校近くの店舗を臨時休業にし、彼らや関係者約100人を招き、160人前の
餃子など総額約30万円分を振る舞ったそうです。
2013年、第三者委員会による債権回収報告書が作成された翌月、大東氏は何者かに射殺されるという悲劇に見舞われました。この事件の容疑者(元暴力団幹部)は2022年10月に逮捕されましたが、裁判員裁判は適用されず、裁判官のみで裁かれることになりました。
経歴
1941年(昭和16年)3月8日:大阪市生まれ
1961年(昭和36年)10月:大東商事(自営)を営む
1969年(昭和44年)8月:中華料理店「王将」入店
1974年(昭和49年)7月:(株)王将チェーンを設立
1978年(昭和53年)3月:営業本部長
1980年(昭和55年)7月:(株)
餃子の王将チェーンに商号変更
1984年(昭和59年)10月:取締役
1984年(昭和59年)12月:常務取締役
1993年(平成5年)6月:専務取締役
1995年(平成7年)2月:取締役副社長
2000年(平成12年)4月:代表取締役社長
2002年(平成14年)3月:営業本部長
2005年(平成17年)1月:王将餃子(大連)餐飲有限公司董事長
2013年(平成25年)
12月19日:
京都市山科区の王将フードサービス本社前にて射殺。
テレビ出演
日経スペシャル カンブリア宮殿 「現場に、炎を起こせ!~ 不況に克つ 繁盛術 ~」(2009年1月26日、テレビ東京)- 王将フードサービス 社長として出演。
関連項目
王将フードサービス
*
餃子の王将