大枝山

大枝山（おおえやま）

大枝山は、京都府京都市西京区と亀岡市の境界に位置する標高480mの山です。古くは大江山や大井山とも呼ばれていました。また、山の北側山腹にある老ノ坂峠（標高230m）を指すこともあります。

概要

歴史

平安京から山陰道へ向かう際、大枝山にある大江坂（老ノ坂峠）の大江関は、京との別れを告げる場所として、歌枕の地として知られていました。平安遷都以前には、淀川を経由して平城京へ向かう経路としても利用されました。

交通・軍事の要所として、承和の変や保元の乱では老ノ坂が軍勢で固められ、不審者の出入りを防ぎました。源義経、足利高氏、明智光秀など、多くの武将が戦地へ向かう際にここを通過しました。室町時代には関所も設置され、キリシタン大名・内藤如安の招待でルイス・フロイスら宣教師が丹波へ入る際にここを経由した記録も残っています。

文化

大枝山は、平安京外部の穢れを防ぎ、内部の穢れを排除する四堺の一つとされ、盗賊の住処や鬼の棲む地として恐れられました。酒呑童子の「大江山」はこの大枝山であるという説もあり、老ノ坂峠の南側には酒呑童子の首塚が残っています。

近代

かつて京都と亀岡を結んでいた老ノ坂峠は、1883年に「松風洞」トンネル、1933年には「和風洞」トンネルが開通し、交通の便が向上しました。1964年には2車線の老ノ坂トンネルが開通し、「和風洞」は歩行者・自転車専用道となりました。現在、国道9号として京都市内と丹波・山陰方面を結ぶ主要道であり、1988年には京都縦貫自動車道が開通し、新老ノ坂トンネルが掘られました。

老ノ坂の子安地蔵

京阪京都交通の老ノ坂峠バス停付近には、「子安地蔵尊」として地蔵菩薩が祀られています。物語『一心二河白道』によれば、この地蔵は丹波国の長者の娘、桜姫であるとされています。

映画と老ノ坂

大正から戦前にかけて、老ノ坂は京都の映画人にとって時代劇のロケ地として重宝されました。太秦からのアクセスが良く、天候を見てから出発しても十分に撮影ができたからです。ただし、当時の農家が人糞を肥料としていたため、肥汲みの牛車が通る時間帯を避けて撮影する必要がありました。牛車の行列と臭いのために撮影が中断されることもあり、撮影隊は牛車に遭遇しないよう、早めに撮影を切り上げていたそうです。

関連項目

樫原
大江山
* 沓掛山

もう一度検索