大森 (大田市)

島根県大田市大森地区：石見銀山の歴史を今に伝える町並み

大森地区は、島根県大田市に位置する地域で、かつて石見銀山の中心地として、また江戸時代には天領を支配する大森代官所の陣屋町として栄華を極めました。おおむね旧大森町に相当し、その歴史的な背景と美しい景観が魅力です。

銀山争奪の地から幕府直轄領へ

中世、大森で銀山が発見されて以来、この地は戦略的に重要な拠点となり、大内氏、小笠原氏、尼子氏、毛利氏といった戦国大名による激しい攻防が繰り広げられました。江戸時代に入ると、大森は幕府の直轄領となり、銀山奉行（後に大森代官）が置かれました。

『銀山旧記』には、慶長から寛永年間にかけて大森の人口が20万人に達したという記述がありますが、これは誇張された数値であると考えられています。しかし、この記述からも石見銀山が非常に繁栄していたことが伺えます。その後、銀の産出量は徐々に減少し、銀山としての勢いは衰えていきました。

1866年（慶応2年）の第二次長州戦争では、石見国の幕府軍が敗走し、大森は長州藩の支配下に入ります。1869年（明治2年）には、旧石見銀山領が旧浜田藩領とともに大森県となり、県庁が置かれましたが、翌年には浜田県に統合され、大森の県庁は廃止されました。1923年（大正12年）には石見銀山が閉山となり、人口と世帯数は減少の一途をたどりました。

大森村から大田市へ

大森は元々、旧邇摩郡佐摩村の一部でした。明治時代の町村制施行により、邇摩郡大森村となり、1903年（明治36年）に町制を施行して大森町となりました。1956年（昭和31年）には大田市に編入合併され、現在に至ります。

文化遺産としての価値

1969年（昭和44年）、「石見銀山遺跡」が国の史跡に指定され、1987年（昭和62年）には大森の町並みが「鉱山町」として重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。そして、2007年（平成19年）には世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として登録され、その歴史的価値が世界的に認められました。

伝統的建造物群保存地区は、銀山川沿いの谷間に約2.8キロメートルにわたって続いており、代官所跡などがある北部の町並み地区（大森地区）と南部の銀山地区に分かれています。

大森の歴史

明治初年：邇摩郡佐摩村として、大森代官所が管轄する幕府領となる。
1889年（明治22年）4月1日：町村制施行により、大森村が発足。
1903年（明治36年）11月6日：大森村が町制施行し、大森町となる。
1951年（昭和26年）4月1日：水上村と合併し、改めて大森町が発足。
1956年（昭和31年）9月30日：大田市に編入され、同市の大字となる。


大森地区は、石見銀山の歴史と文化を今に伝える貴重な場所であり、その美しい町並みは訪れる人々を魅了し続けています。


関連項目

石見銀山
島根県の観光地

外部リンク

島根県邇摩郡大森町 (32B0150011) | 歴史的行政区域データセットβ版 - Geoshapeリポジトリ
* 大田市大森銀山 - 島根まるごとミュージアム

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