大森寛

大森寛（おおもり かん）

大森寛は、1907年（明治40年）8月14日に生まれ、2002年（平成14年）6月18日に94歳で亡くなった、日本の内務官僚、陸上自衛官です。最終階級は陸将で、第5代陸上幕僚長を務めました。位階勲等は従三位勲二等。旧姓は石岡です。

生い立ちと初期のキャリア

岡山県出身の大森は、第一高等学校を経て、1930年（昭和5年）3月に東京帝国大学法学部を卒業しました。同年、内務省に入省し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。1942年（昭和17年）1月には内務省事務官、大臣官房に配属され、1943年（昭和18年）6月には海軍司政官として南西方面海軍民政府総務局警務課長に就任しました。その後、1944年（昭和19年）3月に内務省書記官となり、同年4月15日には千葉県警察部長に任命されました。

警察予備隊から陸上自衛隊へ

第二次世界大戦後の1950年（昭和25年）12月、大森は警察予備隊に警察監補（陸将補）として入隊します。同年12月29日には、第3管区総監（現在の第3師団長）に就任しました。その後、第1管区総監（現在の第1師団長）、陸上幕僚副長、東部方面総監といった要職を歴任し、1962年（昭和37年）3月には第5代陸上幕僚長に就任しました。

大森の陸幕長就任の背景には、当時の防衛庁長官であった藤枝泉介の存在があったとされています。藤枝は、大森と同じく東京大学、内務省出身であり、その縁から大森が指名されたという見方があります。

陸上幕僚長としての活躍

3年間、陸上幕僚長の職にあった大森は、1964年（昭和39年）の東京オリンピックの支援を成功させました。1965年（昭和40年）1月に退官しましたが、その後も防衛庁教官に任命され、防衛大学校長に就任しました。

防衛大学校長としての貢献

自衛隊時代から部下に対して厳しかった大森は、防衛大学校長になってからもその姿勢は変わりませんでした。そのため、一部には不評な面もありましたが、校長として5年間在職する中で、施設整備に尽力しました。部下を使い、自らも内局に出向いて予算を獲得し、道路、教室、図書館、海上訓練施設などの整備を進めました。特に図書館は、校長就任後3年目に増築し、蔵書数を倍増させたほか、学生食堂に暖房設備を整備するなど、学生の生活環境改善にも大きく貢献しました。1970年（昭和45年）7月に防衛大学校長を退職しました。

年譜

1929年（昭和04年）10月：文官高等試験行政科試験合格。
1930年（昭和05年）3月：東京帝国大学法学部卒業、内務省入省
1941年（昭和16年）8月：警視庁警視
1942年（昭和17年）1月：内務省事務官、大臣官房
1943年（昭和18年）6月：海軍司政官、南西方面海軍民政府総務局警務課長
1944年（昭和19年）
3月：内務省書記官
4月15日：千葉県警察部長
1950年（昭和25年）
12月1日：警察監補に任命
12月29日：第3管区総監に就任
1951年（昭和26年）2月16日：警察監に任命
1954年（昭和29年）7月1日：第1管区総監に就任
1957年（昭和32年）8月2日：陸上幕僚副長に就任
1960年（昭和35年）3月11日：東部方面総監に就任
1962年（昭和37年）3月12日：第5代 陸上幕僚長に就任
1965年（昭和40年）1月16日：退官。引き続き防衛庁教官に任命され、防衛大学校長に就任
1970年（昭和45年）7月1日：退職
1977年（昭和52年）11月3日：勲二等旭日重光章受章
2002年（平成14年）6月18日：逝去（享年94）、叙・従三位

親族

息子には、内閣情報調査室長を務めた大森義夫と、防衛施設庁長官、内閣官房副長官補、駐オマーン大使を歴任した大森敬治がいます。

栄典

勲二等旭日重光章（1977年（昭和52年）11月3日）

参考文献

秦郁彦編『日本官僚制総合事典、1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 防衛日報（昭和37年3月12日）

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