大森盛長

大森 盛長について

大森盛長（おおもり もりなが）は、南北朝時代に活躍した武将で、通称「彦七（ひこしち）」で知られています。彼は伊予国砥部庄の千里城の主であり、清和源氏の一流としての家柄を持っていました。彼の先祖は源頼親であり、現在の愛媛県砥部町に住んでいました。盛長は『太平記』に登場する怪異話の主人公として広く知られており、多くの伝説とともにその名が語り継がれています。

生涯と戦績

盛長は元弘の乱の際、伊予守護である宇都宮貞宗に仕官し、討幕軍と戦いました。南北朝の戦いにおいては北朝側につき、建武3年（1336年）の湊川の戦いにおいて南朝側の名将、楠木正成を敗死させたという伝説が伝わっています。この戦いの功績によって、彼は讃岐国の領地を賜りました。彼の一族は伊豫大森氏として広がり、備前国や伊予国、因幡国、出雲国で繁栄を享受しました。

暦応3年（1340年）には、南朝方の脇屋義助によって四国が制圧され、形勢が一変しましたが、その後北朝方の細川頼春の攻撃により再び形勢が逆転しました。盛長はこの戦闘で砥部中山遊猟地についても加賜されました。その後、彼は神前郷松前村の金蓮寺へ向かう道中で、楠木正成の怨霊の化身「鬼女」との出会いが語られる伝説に遭遇します。この話は後に江戸時代の舞踊劇や明治時代の福地桜痴の史劇「大森彦七」にもなり、新歌舞伎の中で演じられるようになりました。

盛長の子孫である盛頼が伊予国風早郡小川村に移り住み、彼の孫である盛安は文禄元年（1592年）にこの村の庄屋に任命されました。これ以降、庄屋大森家は明治時代までの約300年間にわたり、庄屋の役割を果たし続けました。

大森家の伝説と文化的影響

後に大森家が廃屋となり、残された襖の下張りから藩政時代から明治初期にかけての古文書が発見されるという出来事がありました。その中には、佐賀の乱に関連する江藤新平の手配書も見つかりました。これらの伝説は、大森盛長のキャラクターとともに、数々の怪異話を生み出しました。

特に『太平記』や地方の説話がその根幹となり、さまざまな物語が作られました。例えば、塩売りの商人が大森彦七に助けられる話や、鬼女と遭遇したという驚異的な体験が伝承されています。また、盛長が神を祀る神社や史跡もあり、彼に関連する場所は今も存在しています。

今日、彼の名前は歌舞伎や新歌舞伎の演目としても知られ、文芸作品においてもその影響を残しています。大森盛長の物語はただの戦国時代の武将の話ではなく、文化の中で生き続けている一つの象徴として、多大な影響を与えています。

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