大業分別経

『大業分別経』の概要

『大業分別経』は、パーリ仏典経蔵中部に記載されている第136の経典であり、釈迦がアーナンダに対して業と輪廻の教えを説く重要な内容を持っています。本経典は、善悪の行動がどのようにその後の転生に影響を及ぼすかをりつくり解説するもので、仏教における基本的な教義を形成する一助となっています。類似の漢訳経典としては、『中阿含経』内の「分別大業経」があり、どちらも業の性質に関する理解を深めるものとされています。

登場人物と物語の背景

この経典には、いくつかの重要な登場人物がいます。主な登場人物には、比丘サミッディ、遊行者ポータリプッタ、比丘アーナンダ、比丘ウダーイン、そして釈迦自身が含まれます。

物語は釈迦がラージャガハの竹林精舎に滞在している時に始まります。そこで、比丘サミッディと遊行者ポータリプッタが仏法について討論を行いますが、議論は平行線をたどり、最終的にはポータリプッタがその場を離れてしまいます。サミッディは、アーナンダのもとに行き、釈迦についての教えを求めることを決意します。

教えの展開

アーナンダはサミッディの話を聞き、釈迦のもとに向かいます。釈迦は、彼らの議論の背景を理解し、サミッディとウダーインが正しく仏教の教えを理解していないことを指摘した上で、業と輪廻についての詳しい説法を始めます。この際、釈迦は、業の善悪やその果報がどのように転生に反映されるかについて説明を行います。特に、経典では善悪の行為が即座に結果として現れるわけではないことが強調され、行為がどのように時間をかけてその結果をもたらすのか教えられます。

この教えに触れたアーナンダは、ためらいなく歓喜の表情を浮かべます。彼は、釈迦の教えが明解であることを実感し、より深い理解に至ります。

経典の位置づけと意義

『大業分別経』は、仏教における倫理的な教義を理解する上で非常に重要です。この経典によって、信者は善悪の行いがどのように未来に影響を及ぼすかを考え、日常生活における行動を見つめ直す機会を与えられます。また、業と輪廻に関する教えは、仏教全般にわたる基本理念でもあり、多くの信者にとって指針となり続けています。

参考資料

本経典についての日本語訳は、以下のような出版物に収められています。

• - 『南伝大蔵経・経蔵・中部経典4』（第11巻下） 大蔵出版
• - 『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）後分五十経篇II』 片山一良訳 大蔵出版
• - 『原始仏典 中部経典4』（第7巻） 中村元監修 春秋社

このように、『大業分別経』は仏教の基本的な教えとその実践を理解する上で、肝要な役割を果たす作品であり、今後も信者たちに影響を与え続けることでしょう。

もう一度検索