大江川 (宮田用水)

大江川（おおえがわ）

概要

大江川は、愛知県尾張地方に位置する農業用排水路であり、宮田用水の末端部に接続しています。地域によっては大江用水とも呼ばれます。この川は、木曽川の水を濃尾平野に供給する灌漑用水路としての機能と、雨水などを排水する排水路としての機能を併せ持っています。現在は、旧来の河川部分が排水路として利用され、用水路は排水路沿いに暗渠化されています。

地理

大江川は、愛知県江南市の宮田町藤ノ森付近で宮田用水を水源としています。そこから、一宮市、稲沢市、あま市を流れ、名鉄津島線や津島街道（津島上街道）と交差します。あま市木田付近には大江川の最下流基準点があり、そこから下流側は蟹江川となります。上流部の一宮市浅井町尾関では、奥村用水を分水しています。

歴史

大江川の歴史は、古代にまで遡ります。元々は、木曽川の左岸派川であった二之枝川の一部と、新たに開削された用水路が組み合わさって形成されました。大江用水の基礎を築いたのは、平安時代の尾張国国司であった大江匡衡です。

前任の国司、藤原元命が水路改修費を着服し、洪水や飢饉に対応しなかったため、農民からの嘆願によって更迭されました。その後任として着任した大江匡衡は、用排水の不備が問題の根源であると判断しました。1001年（長保3年）に、大江匡衡は国府付近で二之枝川から分岐し、南に流れる灌漑用排水路を整備しました。この用水整備により、利水と治水の便を得た農民たちは、大江匡衡の功績を称え、この水路を「大江用水（大江川）」と名付けました。この時に整備されたのは、二之枝川との分岐部（現在の稲沢市高御堂付近）から下流端である津島街道付近までで、その先の蟹江川の区間は江戸時代の1785年（天明5年）に開削されました。

大江川上流側の整備は、江戸時代に「御囲堤」が整備された以降に進みました。御囲堤の建設により、尾張側の派川が木曽川本川から切り離され、流域の水田では用水の確保が難しくなりました。そのため、木曽川の堤防数箇所に杁を設け、用水の確保を試みましたが、当時の木曽川は頻繁に河道を変えていたため、これも困難でした。

大江川では、まず大野での取水が行われ、後に般若で取水した般若用水からの補給へと変わりましたが、いずれも水量が不足しました。最終的に、1790年（寛政2年）には宮田で取水する新般若用水が開削されました。そして、1950年（昭和25年）の国土総合開発法成立に基づき、農林省は木曽川から取水する用水路の合口を計画しました。大江用水を含む宮田用水も1957年（昭和32年）から大幅な改良が開始され、1967年（昭和42年）に完成した犬山頭首工から分水する形で統合されました。

関連項目

大江村 (愛知県) - 村名は、大江川に由来します。

脚注

(省略)

外部リンク

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