蟹江川

蟹江川（かにえがわ）は、愛知県あま市と海部郡蟹江町を流れる、日光川水系の二級河川です。河川延長は10.2km、流域面積は16.8km2となっています。

地理

蟹江町は水郷として知られ、蟹江川、佐屋川、日光川など多くの河川が流れています。蟹江川は、蟹江町の町域を二分するように流れており、上流域では大江用水に接続しています。蟹江町須成では、左支川の小切戸川が合流します。河道は矢板やコンクリートブロック護岸で整備されています。蟹江町舟入の南で日光川に合流し、蟹江川排水機場から人為的に排水されています。これは、日光川の水位が高く、自然流下での排水が困難なためです。

蟹江川の下流部は、かつて庄内川の派川であった小切戸川の下流部分にあたります。1785年（天明5年）に大江川（大江用水）と接続するように開削され、1796年（寛政8年）に福田川が開削されたことで、現在の河川形状がほぼ完成しました。

流域の自治体

愛知県
あま市
海部郡蟹江町

支流

小切戸川

文化

昭和時代には、蟹江川でシジミ、フナ、カニなどが獲れ、子どもたちの遊び場にもなっていました。2022年（令和4年）には、木曽川うかいが蟹江川で再現されました。

須成祭

蟹江町の冨吉建速神社・八剱社の祭礼である須成祭は、蟹江川と深く関わっています。「神葭の神事」では、蟹江川の河岸に茂るヨシを刈り、神体として祀った後、災厄を託して蟹江川に流します。このヨシは、7日間蟹江川に浮かべられ、その後70日間は冨吉建速神社の神棚に祀られ、最後に燃やされます。「車楽船の川祭」では、提灯や花で飾られた車楽船が稚児を乗せて蟹江川を上ります。蟹江川に架かる御葭橋は、車楽船が通る2日間のみ跳ね上げられます。

須成祭は、2012年（平成24年）に「須成祭の車楽船行事と神葭流し」として重要無形民俗文化財に指定され、2016年（平成28年）には「山・鉾・屋台行事」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。2018年（平成30年）には、蟹江川の河岸に須成祭を主題とする蟹江町観光交流センター祭人が開館しました。

漁業

昭和時代以前、蟹江町舟入には打瀬船を用いた漁師がおり、蟹江川の川岸には魚市場もありました。漁師は伊勢湾で底引網漁などを行い、アナゴ、スズキ、クルマエビ、ウナギ、ハゼなどを獲っていました。昭和初期には、近鉄名古屋線と国道1号の間に蟹江川樋門が設置され、上流側と下流側の水位差を調整して船を通す閘門がありました。しかし、1962年（昭和37年）に名古屋港の高潮防波堤の建設が理由で、蟹江町漁業協同組合が漁業権を放棄し、舟入の漁師たちは廃業しました。

蟹江川は、人々の生活と文化に深く根ざした川であり、その歴史と景観は大切に守り伝えられています。

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