大江戸勇二

大江戸 勇二（おおえど ゆうじ）は、昭和時代に活躍した大相撲力士です。

1923年（大正12年）11月22日、東京府（現在の東京都）江東区に小林 勇として生まれました。春日野部屋に入門し、1939年（昭和14年）5月場所で初土俵を踏みます。身長173cm、体重81kgと当時の力士としても小柄な体格でしたが、左四つ、上手投げを得意手としていました。

同部屋には、後に大横綱となる栃錦がいました。大江戸と栃錦は共に小柄な体格であったことから非常に気が合い、互いに励まし合いながら番付を上げていきました。二人は常ノ山（後の関脇）と共に、相撲の禁じ手などを面白おかしく紹介する余興である「初っ切り（しょっきり）」を演じることもありました。また、大江戸は栃錦とある賭けをしていたといいます。「お前が一流の力士になったら、東京中を逆立ちして歩いてやる」と約束した相手が横綱に昇進した際、その賭けを持ち出されて苦笑いしたというエピソードが残っています。

順調に出世し、1948年（昭和23年）5月場所で新十両昇進。十両には3場所の在位で通過し、翌1949年（昭和24年）5月場所で新入幕を果たしました。最高位は同年10月場所の西前頭16枚目です。立ち合いからすぐに左四つに組んで、そこから得意の上手投げを放つという取り口でしたが、やはり軽量であったため、幕内の舞台では苦戦を強いられました。

幕内在位は通算で3場所にとどまり、現役晩年は幕下の番付で土俵を務めました。1954年（昭和29年）1月場所限りで現役を引退しました。

引退後は日本相撲協会に残って年寄として後進の指導にあたります。当初は年寄「九重」を襲名しましたが、1959年（昭和34年）3月に「入間川」に名跡を変更しました。部屋付きの親方として、師匠である元・栃錦の第44代横綱春日野親方を補佐する傍ら、相撲協会では長きにわたり九州場所の担当委員を務め、場所運営に尽力しました。1988年（昭和63年）11月場所をもって、65歳の停年（定年）を迎え、相撲協会を退職しました。停年直後には、同じ春日野部屋の栃剣が入間川の名跡を襲名すると伝えられましたが、栃剣は結局現役を続行し、別の名跡を襲名することはありませんでした。

力士としての通算成績は153勝176敗15休で勝率は.465、幕内では17勝28敗で勝率.378という記録を残しています。力士時代の改名歴は、初土俵から1945年（昭和20年）11月場所までが本名の「小林」、1946年（昭和21年）11月場所のみ「城東山」、そして1947年（昭和22年）5月場所から引退までを「大江戸」としています。年寄としては、1954年（昭和29年）1月から1959年（昭和34年）3月までが九重、1959年（昭和34年）3月から1988年（昭和63年）11月の停年までが入間川でした。

栃錦という大横綱の傍らで、小柄ながらも懸命に土俵を務め、引退後は裏方として角界を支えた人物として、その名を留めています。

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