大江橋 (横浜市)

大江橋の歴史と構造

大江橋は、神奈川県横浜市中区を流れる大岡川に架かる道路橋で、国道16号（尾上町通り）が通っています。中区桜木町一丁目と尾上町六丁目を結ぶこの橋は、横浜の発展とともに重要な役割を果たしてきました。初代の橋が1870年に開通してから、現在では4代目の橋がその役目を担っています。

初代の橋と初期の役割

初代の大江橋は、1870年（明治3年）4月に木造橋として建設が始まり、翌5月には完成しました。橋の名前は、当時の県令（現在の神奈川県知事）であった大江卓に由来します。1872年に鉄道が開通し、横浜駅（現在の桜木町駅）が開業すると、大江橋は駅と横浜の中心部を結ぶ重要なルートとして、弁天橋と共に利用されるようになりました。関内地区と横浜港を結ぶこの橋は、当時から交通の要所だったことがわかります。

二代目、三代目の橋と架け替え

1902年には、一径間約51.8m、幅約14.2mのプラットトラス橋に架け替えられました。しかし、1905年に横浜電気鉄道が開通した際、橋の上に軌道を敷設することができず、市電専用の橋が別途架けられることになりました。1921年には再び架け替え工事が始まり、旧橋のトラスは中村川の山下橋に転用されました。新しい橋は、中央径間約19.1m、側径間約16.4m、全長約58.2mの3径間アーチ橋として、幅は約23.6mで建設されました。この橋は、1922年7月1日に完成し、同時に横浜市電（1921年に横浜電気鉄道から市営に移管）の軌道も橋の中央部に移されました。1923年の関東大震災では被災しましたが、落橋は免れ、1928年7月には上部構造を中心とした復旧工事が完了しました。

現在の橋

現在の橋は、1973年に完成した2径間多主桁プレートガーダー橋です。建設にあたっては、旧橋の交通を確保しながら半分ずつ施工されました。橋の全長は50.3mで、車道幅は16m、歩道幅は各4mですが、下流側の尾上町側の歩道は8mに拡幅されています。この橋は、現代の交通ニーズに対応した構造となっています。

周辺の立体交差

大江橋から南側の桜川橋の間は、地上では京浜東北線（根岸線）・国道16号・大岡川が、地下では首都高速神奈川1号横羽線花園橋トンネル・横浜市営地下鉄3号線が交差する、複雑な五重立体交差となっています。この構造は、横浜都心部の交通網の複雑さと、それを支えるインフラの重要性を示しています。

まとめ

大江橋は、1870年の初代から現在の橋に至るまで、横浜の歴史とともに変化を遂げてきました。この橋は、横浜の都市開発と交通網の発展において重要な役割を果たしてきただけでなく、その構造と周辺環境が、都市工学的な視点から見ても興味深い存在です。

参考文献

関野昌丈『かながわの橋』神奈川合同出版 かもめ文庫、1981年11月30日、36-37頁。
小寺篤『横浜の橋』経済地図社、1973年12月10日、93-101頁。

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