大江町 (京都府)

大江町：鬼伝説と豊かな自然に彩られた歴史の町

かつて京都府加佐郡に位置していた大江町は、2006年1月1日、三和町、夜久野町とともに福知山市に編入されました。大江山、由良川といった自然豊かな環境に恵まれ、古くから「鬼の里」として知られる地域です。酒呑童子伝説に彩られた歴史と、近代における鉱山町としての発展、そして現在に残る美しい棚田や個性豊かな観光資源など、多様な魅力を併せ持つ町として知られていました。

地理と歴史

大江町は、北に舞鶴市、東に綾部市、西と南に福知山市と隣接していました。由良川が流れ、大江山がそびえ立つ河守盆地が町の主要部を形成しています。歴史的には、丹後国加佐郡、丹後田辺藩、舞鶴県に属し、特に舞鶴市とは深い繋がりがありましたが、宮福線の開通などにより、福知山市との結びつきが次第に強まっていきました。

平安時代には川守郷として、また鎌倉時代以降は河守荘として栄えました。天正8年（1580年）には細川藤孝・忠興の領地となり、慶長6年（1601年）には宮津藩領となりました。幕末の「丹後国村々版籍取調帳」によると、河守町の人口は1226人と記録されています。宮津街道の宿場町として機能する一方、蝋燭、桐油、生糸などの製造も盛んに行われ、由良川を利用した物資輸送も重要な役割を果たしていました。

明治時代には宮津県、豊岡県を経て京都府に所属。1889年（明治22年）の町村制施行により河守下村、1890年（明治23年）には町制施行と改称によって河守町となりました。特産品の蝋燭取引における知名度から河守町の名が継承されました。1951年（昭和26年）には周辺町村を編入し、大江町と改称されました。

経済と産業

大江町の経済を支えた重要な産業の一つに河守鉱山があります。大正6年（1917年）に銅の採掘が始まり、昭和8年（1933年）には日本鉱業が本格的に操業を開始しました。朝鮮戦争特需により昭和26年（1951年）頃には飛躍的な発展を遂げ、昭和35年（1960年）頃にはピークを迎えました。従業員220名、鉱山人口1000名を超える京都府最大の鉱山となり、鉱山従業員の子弟のための小学校も存在しました。しかし、昭和44年（1969年）に休山、昭和48年（1973年）に閉山しました。鉱山跡地には現在、「酒呑童子の里」という公園が整備されています。

教育と交通

教育施設としては、京都府立大江高等学校、大江町立大江中学校、福知山市立大江小学校（2021年度より美河・美鈴・有仁の3小学校と大江中学校が統合され、小中一貫教育校「大江学園」として開校）がありました。交通面では、北近畿タンゴ鉄道宮福線が町の中心部を走り、公庄駅、大江駅、大江高校前駅、二俣駅、大江山口内宮駅が設置されていました。かつては福知山駅と河守駅を結ぶ北丹鉄道も存在しましたが、1974年（昭和49年）に廃止されました。道路網も整備され、国道175号や複数の府道が町内を通っています。また、京都縦貫自動車道（綾部宮津道路）の舞鶴大江インターチェンジも近接しています。

観光と文化

大江町には、元伊勢神宮、四宮神社、日吉神社、金刀比羅神社といった歴史的な神社仏閣や、二瀬川渓流、毛原の棚田（日本の棚田百選）などの自然豊かな観光スポットが存在します。また、「日本の鬼の交流博物館」や「鬼瓦公園」、大江町和紙伝承館なども町の特色を良く表しています。特筆すべきは、2000年（平成12年）にインドネシアで制作された13体の鬼の像で、町内に設置され、それぞれに名前が付けられています。これらの像は、町の新たな魅力として観光客を惹きつけています。様々な祭事や催事も行われており、地域文化の活気を感じることができます。

まとめ

大江町は、豊かな自然、歴史、そして活気ある産業を背景に、独自の文化を育んできた町でした。酒呑童子伝説に代表される鬼にまつわる物語、美しい棚田、そして近代産業遺産など、数多くの観光資源が点在しています。福知山市への編入後も、その魅力は色褪せることなく、地域住民や観光客に愛され続けています。

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