北近畿タンゴ鉄道

北近畿タンゴ鉄道株式会社の概要

北近畿タンゴ鉄道株式会社（KTR）は、京都府と兵庫県において2つの鉄道路線を保有する第三セクターの鉄道会社です。本社は京都府宮津市に位置しています。企業名にある「タンゴ」という言葉は、路線がある地域の旧国名である丹後国に由来しており、音楽のタンゴとつながりを持つことも意識されています。

経済状況と運営

北近畿タンゴ鉄道は、設立以降長い間赤字に悩まされており、特に2009年度には日本の第三セクター鉄道の中でもっとも大きな赤字額を記録しています。連続して20期以上にわたって赤字計上が続いており、この経営困難を乗り越えるため、京都府や兵庫県から毎年数億円の経営対策補助金を受け取っています。しかし、両府県での補助金負担割合において意見の相違が生じており、経営的不均衡が懸念されています。

さらに、2015年には鉄道事業の再構築が行われ、運行事業が民間企業であるWILLER ALLIANCEの子会社であるWILLER TRAINSに移譲されました。これにより、KTRは施設の保有専任の第三種鉄道事業者となり、その結果、運行に伴う収益をWILLER TRAINSからの線路使用料によって得る形に変わっています。

歴史的背景

北近畿タンゴ鉄道の歴史は、1982年に設立された宮福鉄道株式会社に遡ります。1988年には宮福線が開業し、1989年にはJR宮津線の引き継ぎに伴い会社名を現在のものに変更しました。1990年に宮津線が開業し、特急「タンゴエクスプローラー」が運行を開始しました。2007年には本社を京都府庁西別館から福知山市のJR西日本ビルに移転しました。

将来の課題

鉄道事業再構築計画は、2024年度までの10年間を視野に入れたもので、現在の主な課題は、WILLER TRAINSと北近畿タンゴ鉄道、そして沿線自治体の協力によって、自立的な収支バランスを実現しつつ社会インフラとしての役割を果たすことに焦点を当てています。この計画実施のもと、地域の振興と鉄道サービスの維持が求められています。

主要路線

南北に走る路線は、宮福線（宮津駅 - 福知山駅、30.4km）と宮津線（西舞鶴駅 - 豊岡駅、83.6km）です。これらの路線は、地域住民の移動手段として重要な役割を果たしています。

車両と運賃

KTRとしての事業運営の一環として、運行部門は自社での運営を行わないため、乗車券や特急券の販売は行っていません。また、移管される前に廃車となった車両にはKTR1000形やKTR2000形が含まれています。

地域振興とPR

北近畿タンゴ鉄道は、地域の魅力を発信するために「KTRブログ駅長」という取り組みを行っていました。これは沿線地域のエピソードや魅力を紹介し、地域振興に寄与するものでした。2007年から2011年までの期間にわたって情報が発信され、地域への訪問を促しました。

作品での登場

この鉄道は複数の作品に登場しており、アニメ『けいおん!』や『AIR』では実際の車両や駅がモデルとして描かれました。特に『けいおん!』ではKTR700形気動車が登場し、地域の認知度向上に一役買っています。

北近畿タンゴ鉄道は、経済的困難を抱えながらも地域に密着した鉄道会社として、自立した運営と地域振興に向けた活動を続けていく必要があります。

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