大沢商会

株式会社大沢商会は、東京都中央区に本社を置く専門商社です。海外商品の輸入卸販売や国内商品の企画販売を手がけ、国内外の高級ブランド品を中心に取り扱っています。かつては東京証券取引所に上場していた時期もありました。

創業と輸入商社化

同社の歴史は1890年（明治23年）、大澤善助氏が京都で柱時計の製造業を始めたことに遡ります。当初は自社製造でしたが、1895年に米アンソニア社と輸入契約を結んだことを契機に、輸入機械と国産ケースを組み合わせた時計販売へと事業転換しました。これが輸入商社としての礎となり、1897年に大沢商会が設立されます。事業拡大に伴い、積極的に海外展開を進め、1962年には本社を東京へ移転しました。

多様な商品と専門分野

大沢商会は創業の時計事業に加え、取り扱い分野を大きく広げました。特に映像機器分野は歴史が長く、1928年のベル&ハウエル社製品輸入開始以降、カメラ関連製品を多数扱い、この分野に強みを持っていました。現在のデジタルカメラにも繋がる流れの一翼を担った存在です。時計や映像機器だけでなく、自動車、スポーツ用品、カバン、宝飾品、アパレルなど多岐にわたる分野で事業を展開し、高級輸入品を中心に多くの著名ブランドの日本代理店を務めました。

経営破綻と再建の道のり

同社の歴史における最大の危機は、1984年（昭和59年）の経営破綻です。多角化の失敗などから約1250億円の負債を抱え、会社更生法の適用を申請し経営が破綻しました。この難局に対し、セゾングループが支援を決定。同社はセゾングループの一員として再建の道を歩み、厳しい再建が進められました。この経緯は、作家・高杉良氏の小説「会社蘇生」の題材にもなっています。

その後の展開と独立

セゾングループ傘下での再建後、大沢商会は同グループから離れます。2003年（平成15年）にユニマットグループへ営業譲渡され、「大沢商会グループ」として再出発。その後も組織再編が進み、2014年7月には会社分割によって、現在の株式会社大沢商会が改めて設立されました。これにより、同社はユニマットグループから独立した形となっています。

関連情報

同社の長い歩みの中では、各界で活躍した多くの人物が関わりました。一時、白洲次郎氏が会長を務めた時期があります。また、京都に開設した貸しスタジオ「J.O.スタヂオ」は、後の東宝映画京都撮影所の源流の一つとなりました。経営破綻の際には、主要取引先のマミヤ・オーピーが連鎖倒産するなど、影響も生じました。

もう一度検索