大沢基宿

大沢基宿の生涯と業績

大沢基宿（おおさわ もといえ）は、戦国から江戸時代初期にかけての日本の武将で、彼の活動は時代を象徴するものとなっています。彼の諱は基宥とも呼ばれ、通称は兵部です。官位としては正四位下、左近衛中将、兵部大輔という高い地位にありました。

生い立ちと初期の経歴

基宿は、大沢基胤の長男として誕生し、母は木寺宮の娘という由緒ある家柄に生まれました。父である基胤が徳川家康による遠江国侵攻の際、居城である堀江城を守り続けたことは、基宿の成長に大きな影響を与えました。堀江城は家康の攻撃を受け、基胤は頑強に抵抗しましたが、最終的には降伏を余儀なくされました。その後、幼い基宿は徳川家の配下として育てられました。

徳川家への参加と栄進

基宿は成長した後、小牧・長久手の戦いに従軍し、軍事的な経験を積み重ねました。1588年の3月には、従五位下侍従および兵部大輔に叙任されました。関ヶ原の戦いの後、彼は遠江・敷知郡の堀江村など六ヵ村の領地として1550石を授与され、その地位を確立しました。

慶長6年（1601年）には従四位下に昇進、更に慶長8年（1603年）には徳川家康の将軍宣下に際し、公家と連携し式典の準備を行うなど、重要な任務を担う高家として活動するようになりました。これは後の江戸幕府における高家職の始まりとして重要な意味を持っています。

高家職と晩年

慶長13年には高家職に就任し、その後も朝鮮や琉球からの使者の謁見において主導的な役割を果たしました。基宿の高家としての任務は、母方の家柄が背景にあったとも考えられています。彼の母は、後醍醐天皇の兄、後二条天皇の子、邦良親王を祖とする皇族の出身です。

慶長14年（1609年）には右近衛少将に昇進し、その後も正四位下、左中将にまで登りつめました。彼の父、基胤が亡くなったのは1605年6月28日で、享年は80歳でした。基宿は1632年に隠居し、長男に家督を譲ります。その後、彼は「真松斎」と号し、1642年1月25日に堀江で亡くなりました。享年は76歳でした。

家族

大沢基宿は4人の男子と2人の女子、さらには1人の養子を持ちました。彼の長男基重は大沢家を相続しましたが、次男基定は公家持明院基久の養子となり、三男基成は分家して旗本となり、四男基近は徳川頼宣の家臣として活躍しました。娘の一人は、山名豊政の妻となりました。なお、大坂夏の陣では、基定と基征が豊臣秀頼を支持し、戦死したという記録も残されています。

このように、大沢基宿は多岐にわたる役割を果たし、江戸時代の形成に寄与した重要な人物として記憶されています。

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