大沼駅

大沼駅

北海道亀田郡七飯町に位置する、北海道旅客鉄道（JR北海道）函館本線の駅です。駅番号はH68、電報略号はオマ。函館本線において、七飯方面からの下り列車専用の別線、通称「藤城支線」が本線と合流する地点であると同時に、森駅方面へ海岸沿いを迂回する「砂原支線」が分岐する、鉄道ネットワーク上重要な結節点となっています。

かつては一部の急行列車や特急列車も停車していましたが、現在は普通列車のみの停車駅です。駅業務は七飯駅が管理しており、2023年3月18日からは終日無人駅となりました。

駅名の由来

現在の駅名「大沼」は、所在地の地名に由来します。この地名は、アイヌ語で「大きい沼」を意味する「ポロ・トー」を和訳したもので、文字通り付近の大沼を指しています。

過去に駅名が「軍川（いくさがわ）」であった時期があります。この名称は、かつてこの地に渡し守が居住していたことにちなみ、アイヌ語の「イクサップ」（渡し守）に由来するとされています。

歴史

大沼駅は、1903年（明治36年）6月28日に北海道鉄道の本郷駅（現在の新函館北斗駅）から森駅までの延伸に伴い、初代の「大沼駅」として開業しました。開業当初は一般駅でした。

明治後期には、冬期間に駅裏の氷庫から小沼で採れた氷を貨車に積み込む採氷事業が行われていました。また、1905年（明治38年）には、後に名物となる「大沼だんご」の駅での販売が始まっています。

1907年（明治40年）7月1日には北海道鉄道が国有化され、官設鉄道の駅となりました。1909年（明治42年）には線路名が函館本線に制定され、その駅となります。

1920年（大正9年）6月15日、当駅は「軍川駅」に改称され、同時に現在の大沼公園駅が二代目「大沼駅」となりました。駅舎は1918年（大正7年）に一度改築されています。

1945年（昭和20年）6月1日には、当駅から渡島砂原駅を結ぶ函館本線の支線、通称「砂原支線」が開通しました。

戦後の1956年（昭和36年）には、仁山信号場（現在の仁山駅）との間において、峠下トンネルを経由する旧線から新峠下トンネル経由の新線への切り替えが行われました。また、1954年（昭和29年）には昭和天皇、香淳皇后が大沼公園へ行幸啓された際、お召し列車が当駅を発着しています。

1960年代には、仁山信号場との間に熊の湯信号場が新設されたり、旧線の一部を改修して複線化が進められるなど、線路配置に複雑な変遷がありました。そして、1964年（昭和39年）6月1日には、当駅は再び初代の駅名である「大沼駅」に戻ります（二代目大沼駅は大沼公園駅に改称済）。

1966年（昭和41年）9月30日には、七飯駅と当駅を結ぶ下り専用の別線、通称「藤城支線」が開通。これにより、七飯駅 - 大沼駅間は変則的な形ながら複線化が達成され、同時に熊の湯信号場は廃止されました。

高度経済成長期に入ると、採氷事業は1970年（昭和45年）に終了。鉄道貨物・荷物輸送の衰退に伴い、1971年（昭和46年）に貨物扱い、1984年（昭和59年）に荷物扱いが廃止されました。

優等列車の停車も徐々に減少し、1986年（昭和61年）11月1日には急行「ニセコ」の廃止により、当駅に停車する優等列車はなくなりました。さらに2000年（平成12年）3月11日には快速「アイリス」の下り列車が廃止され、現在は普通列車のみの停車となっています。

国鉄分割民営化により、1987年（昭和62年）4月1日からは北海道旅客鉄道（JR北海道）の駅となりました。2007年（平成19年）10月1日には駅ナンバリング（H68）が導入されています。

近年では、2013年（平成25年）9月19日に構内で貨物列車が脱線する事故が発生しています。そして、2023年（令和5年）3月17日にみどりの窓口の営業が終了し、翌3月18日からは終日無人駅となりました。

駅構造

地上駅で、単式ホーム1面1線（1番のりば）と島式ホーム1面2線（2・3番のりば）の合計2面3線を有しています。ホーム間は跨線橋で連絡されています。駅舎は構内の東側、単式ホームに接する位置に建つ古い木造建築です。駅舎内にはトイレが設置されています。

かつては1番と2番のりばの間に貨物列車の待機に使用された中線がありましたが、現在は使用停止されています。3番のりばの横にも待避線があり、こちらは現在も森方面へ向かう貨物列車の待避に利用されています。

無人化される前は駅長が配置される社員配置駅で、みどりの窓口も設置されていましたが、2023年3月をもって廃止され、現在は七飯駅管理下の無人駅となっています。

大沼だんごとの関わり

大沼駅の歴史を語る上で欠かせないのが「大沼だんご」です。駅開業間もない1905年（明治38年）頃から、「沼の家」製造の元祖大沼だんごが駅で立ち売りされていました。串に刺さず、みたらしやこしあんとともに折り詰めに入れられただんごは、当日限りの賞味期限で人気を博しました。

しかし、駅での売れ行き減少に伴い、1993年（平成5年）頃に駅での立ち売りは終了し、本店でのみ販売されるようになります。その後、JR北海道からの提案を受け、隣接する大沼公園駅から特急列車に積み込んで車内販売が行われるようになりましたが、これも2019年（平成31年）のJR北海道による車内販売全廃により終了。これにより、大沼だんごの鉄道駅や列車での販売の歴史は途切れました。

利用状況

年間や特定の調査日における乗降人員・乗車人員の推移が記録されています。

駅周辺

駅周辺には、国道5号や道道43号・338号といった主要道路が通じています。また、七飯町役場大沼出張所、JA新はこだて大沼支店などの公共施設や金融機関があります。駅のすぐ近くには美しい小沼が広がっており、自然豊かな環境です。路線バスは「大沼駅前」停留所から利用可能です。

隣接する駅は、函館本線本線で新函館北斗駅方面が仁山駅、大沼公園駅方面が大沼公園駅です。砂原支線は当駅から鹿部駅方面へ分岐しています。藤城支線は七飯駅から当駅への下り専用ルートとなっています。

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