大津地方検察庁襲撃事件

大津地方検察庁襲撃事件

概要

1950年12月1日、滋賀県大津市で発生した大津地方検察庁襲撃事件は、当時の政治的背景が色濃く反映された事件です。この日、日本共産党の地区委員や朝鮮人の幹部らが集まり、勾留されていた同志の釈放を求めて検察庁を訪れましたが、検事正はその要求を拒否しました。これに対し、約100名の朝鮮人が集まり、検察庁への侵入を試みる事態に発展しました。

大津地方検察庁は、事態を収拾するために大津市警察に警察官の派遣を依頼し、さらには国家地方警察にも救援を求めました。警察が到着後、検察庁は群集に対して解散を命じ、その結果、実力での排除が行われました。この際、2名が逮捕され、一度は群集が解散しました。

事件の再発

しかし、市内で雨が降る中、職にあぶれた日雇労働者たちが公共職業安定所に集まると、そこで再び先の群集が集まり、日雇労働者を巻き込んで検察庁に突入するという事態が発生しました。日雇労働者は特に反抗的ではなかったものの、以前の集団が暴徒化し、警察官へ襲いかかりました。この結果、事件では合計43名が逮捕されることとなります。

女性や子供の参加

襲撃に参加した集団の中には、多くの女性や子供も含まれていました。朝日新聞では、150名のうち50名が子供であったと報じています。このような状況に対して、検事正は「女性や子供を先頭にしてきたやり方は非常識だ」とのコメントを残しています。この事実は、当時の社会状況や参加者の意図が浮き彫りになっています。

裁判の経過

事件後、大津地方検察庁は不退去罪、公務執行妨害罪、外国人登録令違反の罪で合計36人を起訴しました。騒擾罪の適用についても検討がされましたが、結局見送られることとなりました。裁判の結果、不退去罪については無罪が言い渡されたものの、その他の罪については有罪判決が下されました。

参考文献

この事件についての詳細は、以下の資料に記されています:

• - 『集団犯罪の捜査に関する実証的考察（検察研究所特別資料第1号）』（検察研究所 1951年）
• - 『在日朝鮮人運動（実務教養選書）』（篠崎平治 1955年）
• - 『新修大津市史　第5巻』（大津市 1982年）

関連項目

• - 大津市
• - 大津地方検察庁
• - 大津市警察
• - 自治体警察 (旧警察法)
• - 国家地方警察

この事件は、戦後の日本における政治や社会の緊張を強く感じさせる重要な歴史の一幕であり、今もなお様々な議論を呼んでいます。

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