大津街道

大津街道について

大津街道（おおつかいどう）は、東海道の一部であり、特に伏見宿と大津宿を結ぶ重要な街道として知られています。この道は、単なる交通路ではなく、歴史的な背景を持つ地域の文化と生活の一部とも言えます。

伏見・大津宿間の街道

この街道は、東海道の大津宿から髭茶屋追分を経由し、直接京都の中心部を通ることなく山科盆地を南下します。具体的には、勧修寺を過ぎて稲荷山の南側を通り、大亀谷を通じて伏見宿に到達します。『東海道宿村大概帳』によると、伏見宿と大津宿の間の距離は約4里8町に相当します。現在でいうと、滋賀県道や京都府道35号線がこの街道のルートにほぼ一致します。

この道は、江戸時代に参勤交代を行う西国の大名たちが江戸幕府の監視を避けるために利用された経路でもあり、その整備は幕府によって行われたとされています。江戸から京都を経由せずに大津街道を通り大坂まで行く道は、最近では「東海道五十七次」の一部としても知られています。

歴史的意義

大津街道の歴史は古く、豊臣秀吉が伏見城を築いた時代にさかのぼります。『拾遺都名所図会』には「秀吉公伏見御在城の時より開初し」との記載があり、秀吉の在城時にこの道が整備されたと思われます。

街道の経路は、寛文10年（1670年）に作成された地図にも詳細に記されています。これは、伏見宿から北進し、藤森神社で東に折れ、さらに大亀谷を経て谷口町に至る道を示しており、現在の日本の街並みとよく似ています。

藤森神社の鳥居には後水尾天皇の勅額が掲げられ、参勤交代の大名はここで下馬・一礼する必要がありました。幕末に近藤勇がこの勅額を下ろさせたという伝説も残っており、この地の重要性を物語っています。

通過地点

『東海道宿村大概帳』では、この街道を通る際の重要な地点として、勧修寺村、小野村、大宅村、行燈町、大塚村、音羽村小山村入会、髭茶屋町、八軒町などが挙げられています。特に大宅村内には京都市内で唯一の一里塚が存在し、当時の交通路の重要性を示しています。

交通の変遷

1880年には東海道本線が開通し、当初は大津街道に沿ったルートで運行されました。しかし、1922年に路線が変更され、近年では名神高速道路にその多くが転用されています。このように、大津街道の歴史は現代の交通網にも影響を与えています。

名称の変遷

大津街道は、伏見宿への接続と大坂への道筋から、伏見街道や大坂街道とも称されます。さらに、淀宿からは鳥羽街道が続き、伏見宿からは伏見街道を通って京へ至ることができるため、特に大津宿と伏見宿間の路線は「京街道」とは異なる扱いになります。

その他の道

大津街道は、三条街道や奈良街道とも接続しています。三条大橋から東海道を進み、大津宿へ向かうこのルートもまた大津街道の一部とされ、地域の交通網を形成しています。

まとめ

大津街道は、歴史的な背景を持つ重要な交通路であり、地域の発展に寄与してきました。その経路は現代の道と重なり、文化遺産の価値を持つ道として今も愛されています。大津街道の持つ魅力をぜひ知っていただき、訪れてみてはいかがでしょうか。

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