大清水上遺跡

大清水上遺跡（おおすずかみいせき）

大清水上遺跡は、岩手県奥州市胆沢若柳字慶存に所在する、縄文時代の環状集落跡です。2008年7月28日に国の史跡として指定されました。

遺跡の概要

遺跡は、岩手県の南西部に位置し、一辺20キロメートルにも及ぶ日本最大級の扇状地、胆沢扇状地の最奥頂部、標高280メートルの中位段丘上に位置しています。この遺跡は、縄文時代前期後葉の大木5式期に限定された集落であり、その特徴的な構造が注目されています。

直径約20メートルの中央広場を中心に、62棟もの大型竪穴建物が、その長軸を中央広場の中心部に向けて、直径約110メートルの範囲に円環状に配置されています。さらに、その外側には小型竪穴建物や、貯蔵穴と考えられる土坑が配置されています。

縄文時代の環状集落の萌芽は、縄文時代前期中葉の綾織新田遺跡（岩手県遠野市）や根古谷台遺跡（栃木県宇都宮市）などに見られますが、これらの遺跡では、中央広場に大型竪穴建物の長軸を向ける構造は見られません。大清水上遺跡は、これらの遺跡よりも時代的に後出し、中央広場に軸線を向けた環状集落を形成しており、縄文時代中期に普遍化する環状集落の初期形態を知る上で、非常に重要な遺跡とされています。

発掘調査と史跡指定

胆沢ダム建設事業に伴い、2000年（平成12年）から当該地の発掘調査が開始されました。調査の結果、中央広場を有する環状集落であることが判明したため、集落のほぼ全域が計画変更により保存されることとなりました。その学術的な価値が認められ、2008年（平成20年）に国の史跡に指定されました。

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