大濱普美子

大濱普美子

大濱普美子（おおはま ふみこ）は、1958年東京都生まれの日本の作家です。フランス文学を学び、ドイツでの生活を経て、日本語教師として教鞭を執る傍ら、小説を執筆しています。

来歴

フランス文学者の父を持ち、幼い頃から文学に親しんで育ちました。慶應義塾大学文学部フランス文学科を卒業後、パリ第7大学で修士号を取得。その後、ドイツのフランクフルトに移住し、日本語教師として働きながら創作活動を開始しました。2009年、文芸誌『三田文學』に短編「猫の木のある庭」が掲載され、2013年には同作を含む短編集『たけこのぞう』で作家デビューを果たします。

作風と人物

大濱作品の特徴は、その繊細で美しい文体と、人間の心の奥底に潜む感情を丁寧に描き出す描写力にあります。インタビューでは、小説を書くことを「書かざるを得ない心理療法のようなもの」と語っており、創作活動が自身の内面と深く結びついていることを示唆しています。また、日本神話や古典文学への造詣も深く、スサノオの和歌や樋口一葉の擬古文調に影響を受けていることを公言しています。倉橋由美子も好きな作家として挙げています。

日本語教師としての経験から、文法的な正しさや言葉選びの適切さを重視し、独自性のある文章を目指していることも、彼女の作品の特徴の一つです。

受賞

2022年、第三短篇集『陽だまりの果て』で第50回泉鏡花文学賞を受賞。選考委員からは、その端正で静謐な文体と、不穏さを孕んだ構成が高く評価されました。特に、金井美恵子は「鏡花が選考していたら間違いなく推していた」と絶賛し、大きな話題を呼びました。

著書

『たけこのぞう』（国書刊行会、2013年6月）
『十四番線上のハレルヤ』（国書刊行会、2018年6月）
『陽だまりの果て』（国書刊行会、2022年6月）
『猫の木のある庭』（河出書房新社、河出文庫、2023年） - 『たけこのぞう』収録の「猫の木のある庭」を改題、加筆修正
『三行怪々』(河出書房新社、2024年7月)

関連項目

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