大熊氏廣

大熊氏廣（1856年7月14日 - 1934年3月20日）は、日本の彫刻家であり、その作品は日本の近代彫刻史において重要な位置を占めています。彼は、日本で最初の西洋式銅像とされる靖国神社の大村益次郎像を手がけたことで広く知られています。

生い立ちと初期の活動

大熊氏廣は、武蔵国足立郡中居村八幡木（現在の埼玉県川口市八幡木）で、農家の次男として生まれました。幼少の頃から絵が得意で、後に洋画を学びました。1876年（明治9年）には、工部美術学校の彫刻科に入学し、イタリア人教師のヴィンチェンツォ・ラグーザに師事しました。1882年に首席で卒業した後、有栖川宮邸の建築彫刻を担当するなど、その才能を早くから開花させました。

大村益次郎像の制作とヨーロッパ留学

1884年には工部省に入り、皇居（明治宮殿）の造営にも携わりました。1885年、大熊氏廣は、大村益次郎像の制作という重要な任務を託されました。1890年に工部省が廃止されると内務省に移りましたが、すぐに辞職し、岩崎家の援助を受けてヨーロッパへ留学しました。パリ美術学校ではアレクサンドル・ファルギエールに、ローマ美術学校ではジュリオ・モンテヴェルデに師事し、彫刻家としての腕を磨きました。翌年末に帰国し、1893年に大村益次郎像を完成させ、これにより大熊氏廣の名は広く知られることとなりました。

その後の活躍と晩年

大村益次郎像の成功後、有栖川宮像、小松宮像といった重要な作品を次々と手がけました。また、文部省展覧会の審査員も務めるなど、日本の美術界の発展にも貢献しました。1934年、肺炎のため死去し、その生涯を閉じました。彼の墓は、雑司ヶ谷霊園にあります。

主な作品

大熊氏廣の代表的な作品には、以下のものがあります。

大村益次郎像（1893年、靖国神社）：彼の名を一躍有名にした、日本初の西洋式銅像。
瓜生岩子像（1901年、浅草寺）：浅草寺に建立された、女性をモデルにした珍しい像。
有栖川宮熾仁親王像（1903年、参謀本部前から有栖川宮記念公園に移設）：有栖川宮熾仁親王の偉業を称える像。
後藤房之助像（雪中行軍遭難記念像）（1906年、青森市八甲田山中）：雪中行軍遭難事件の犠牲者を慰霊する像。
ライオン像（1908年、東京国立博物館表慶館前）：博物館のシンボルとして、多くの人々に親しまれています。
小松宮彰仁親王像（1912年、上野公園）：上野公園の象徴的な存在。
* 伊能忠敬像（1919年、佐原市諏訪公園）：日本の地図を作成した伊能忠敬の功績を讃える像。

参考文献と関連情報

大熊氏廣に関する詳しい情報は、平野清の著書『鳩ケ谷の歴史』（鳩ケ谷の歴史刊行会、1970年）などで知ることができます。また、川口市立文化財センター分館郷土資料館には、大熊氏廣の常設展示室があり、彼の作品や資料を間近に見ることができます。大熊氏廣の作品は、日本の彫刻史において重要な位置を占めており、その作品は今も多くの人々に愛されています。

まとめ

大熊氏廣は、日本の彫刻界に大きな足跡を残した人物であり、彼の作品は日本の近代化を象徴するものでもあります。彼の生涯と作品を通して、日本の美術史における重要な一ページを垣間見ることができるでしょう。

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