大町ダム

大町ダム（おおまちダム）

大町ダムは、信濃川水系の高瀬川に築かれている重力式コンクリートダムで、高さは107メートルに達します。このダムは、洪水調節、上水道供給、そして水力発電を目的とした多目的ダムであり、国土交通省が直轄で管理しています。ダムによって形成された人造湖の名称は「龍神湖（りゅうじんこ）」です。

歴史的背景

高瀬川は北アルプス、特に飛騨山脈に位置する槍ヶ岳を水源とし、豊富な水量と急流が特徴です。大正時代からこの地域では水力発電所の建設が進められていました。しかし、急流であるがゆえに、特に大雨が降った際、大きな増水が発生し下流域は水害の影響を受けることが多くありました。

1969年、東京電力は高瀬川で新高瀬川発電所の建設を開始しましたが、同年の8月には「昭和44年8月豪雨」が発生し、大規模な水害を引き起こしました。この水害を受け、1974年には「信濃川水系工事実施基本計画」が改訂され、多目的ダムによる洪水調節を包含する河川総合開発事業が計画されました。このプロジェクトの中には、新潟県の魚野川に三国川ダムが、高瀬川に大町ダムの建設が含まれていました。

1985年に完成した大町ダムは、特定多目的ダムとしては犀川筋では唯一の存在であり、信濃川水系全体においても三国川ダムに次ぐ位置付けとなっています。

ダムの特徴と周辺環境

大町ダムにアクセスするには、大町市の中心から長野県道326号を西に進みます。途中には東京電力の高瀬川テプコ館や大町エネルギー博物館があり、訪れる人々に情報を提供しています。ダム自体は公園として整備されており、上流には美しい紅葉で知られる高瀬渓谷もあります。

ダム管理所の1階には資料室が開放されており、訪問者は申し込むことでダム内部の監査廊の見学が可能です。また、龍神湖の湖岸には、地元伝説「泉小太郎」に基づいた一匹の竜とその背中に乗った少年の銅像が設置されています。この伝説は、童話『龍の子太郎』としても有名です。

ダム直下には東京電力が運営する大町発電所があり、上流にある七倉ダムからの放流水を逆調整して一定量を下流に放流しています。また、冬季に青木湖や木崎湖の水位を保つため、1997年から高瀬川下流の瀬切れを抑える不特定利水放流も試験的に実施され、その効果を上げています。

結論

大町ダムは、その機能性のみならず、美しい自然環境や地元の文化と歴史を持つ観光スポットとしても注目される存在です。訪れることで、自然の恵みと人々の知恵の結集を感じ取ることができるでしょう。ダムとその周辺の魅力を体験するために、多くの人が訪れることを期待しています。

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