大砲万右エ門

大砲万右エ門 - 魅力的な横綱の生涯と功績

大砲万右エ門（おおづつ まんえもん）は、1869年12月30日、現在の宮城県白石市大鷹沢三沢に生まれました。彼は尾車部屋に所属し、相撲界で第18代横綱としてその名を馳せました。本名は角張萬次（かくばり まんじ）でありました。

来歴と成長の道

明治維新直後に農家の二男として生まれた万右エ門は、13歳の時には四斗俵を軽々と持ち運べるほどの恵まれた体格を誇っていました。この能力が彼を伊勢ノ海部屋の元力士の夫人に見出させ、1884年に尾車部屋へ入門するきっかけとなりました。初土俵を「三沢滝（みさわたき）」の四股名で踏みましたが、最初は足腰が弱く、しばらくは前相撲すら通過できない日々が続きました。

1886年、師匠の好意で序ノ口昇進を果たし、さらに1888年に「大砲」という名に改名し、その後の成績が安定しました。1892年には新十両、同年6月には新入幕を果たしますが、初の幕内では3勝6敗に終わるなど、試練の時期も経験。しかし、その後は小結へ昇進し、視線を集める力士となっていきました。

横綱としての輝かしい業績

1899年には新大関となり、翌年には横綱免許を授与されました。大関としては無敗のまま横綱となるまでの道のりは、彼の不屈の精神と努力の賜物でした。横綱時代には、引き分けが多い取り口で知られ、「分け綱」とも称されました。特に、1907年5月場所では9試合全てが引き分けという珍記録を樹立しましたが、この背景には当時の横綱の役割に対する認識の違いも影響していたと言われています。横綱として重責を担いながらも、リズムを保つ取り組みを維持し続ける姿勢が、彼の特徴となっていました。

引退後と晩年の過ごし方

万右エ門は1908年に現役を引退し、待乳山部屋を経営し始めます。引退後は、現役時代とは対照的な姿で賢明な経営者としての才能も発揮しました。彼の門下には光風貞太郎がいたものの、弟子の成功を見ることはなく、1918年に糖尿病により48歳で亡くなります。

文化的影響と記憶の継承

大砲万右エ門の生誕130年を記念した銅像が、1999年に故郷の宮城県白石市に建立され、その功績が今なお人々に語り継がれています。彼の力士生活や生き方は、後の力士たちにも多くの影響を与え、相撲界の歴史に深く刻まれた存在となりました。特に彼のような巨体を持つ力士が、興業の一環として注目を浴びたことは、相撲界の顔とも言える側面の一つです。

人間万右エ門とその魅力

万右エ門は力士としての姿勢や成績だけでなく、個性的な人物でもありました。焼き芋を大好物としており、引退後もその食習慣を変えなかったとのこと。彼が愛したサツマイモは当時の庶民の食糧でもあり、その影響も図り知れません。さらに、優れた話術を持ち、巡業などでその者の機転を利かせる姿勢は、彼をただの力士に留まらせない魅力を放っていたことでしょう。彼の多面性は、相撲界でも特筆すべき点です。

大砲万右エ門の存在が、相撲界の興隆にどれほど寄与したかを考えると、その影響は計り知れないものがあります。

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