大粮

大粮に関する解説

大粮（たいろう）は、日本の古代律令制度において、中央の官署で働く職員に支給された食料を指します。これは、仕丁、衛士、采女などの官吏が職務を遂行するために必要とされるものであり、当時の社会制度において重要な役割を果たしていました。金融的な側面から見ると、この支給には一連の財源が関連し、公共の服務を担う者たちが生活を維持するための基盤となっていました。

財源と支給の仕組み

大粮の供給の財源は、全国の諸国から徴収された米、塩、布、綿といったものから成り立っています。これらは、民部省によって管理され、官吏が必要とする量が毎月適切に供給される仕組みとなっていました。しかし、租庸調制の制度が崩れてしまうと、米の代わりに「年料租舂米」が用いられるようになります。

官吏が必要とする大粮の量とそれに対する支給対象者の数は、各官署からの報告に基づいて算定されました。各官署は、所管する省に対して翌月に支給すべき大粮の量を報告し、これをもとに各省は大粮の総量を求めて民部省に請求を提出しました。この申請が正当とされると、民部省は太政官からの許可を受け、大粮を支給する手続きを行いました。

大粮の意義

大粮は、官吏が公共の職務を行うために必要な食料を保障するもので、彼らの生活を安定させる重要な役割を担っていました。行政の円滑な運営がなされるためには、それを支える供給制度が不可欠でありました。また、民部省を中心とした財政の仕組みが、国家の運営にとってどれほど重要であったかを如実に示しています。

歴史的な背景

このような制度は、古代日本における社会構造や経済活動と密接に関連しており、大粮の存在は当時の経済体系の一部として機能していました。食料支給の制度は、農業生産や交易の発展とも結びついており、古代社会の様々な営みを支える要因となったのです。大粮はただの食料供給に留まらず、当時の社会全体の基盤をも支えていた重要な制度だったと言えるでしょう。

脚注と文献

この大粮に関する詳しい情報は、歴史的な文献に記されています。「類聚三代格」においても大粮についての記載があり、古代の公粮の事情を知る上で貴重な資料となっています。興味を持たれた方は、以下の参考文献をご覧ください。

• - 「類聚三代格 巻六 公粮亊」 (経済雑誌社、1900年)
• - 「類聚三代格 巻六 公粮亊」 (国史大系刊行会、1936年)

以上、本稿では大粮に関する制度の概要とその歴史的意義について解説しました。

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