大聖寺駅

大聖寺駅：石川と福井を繋ぐ鉄道の要衝

大聖寺駅は、石川県加賀市熊坂町に位置する、IRいしかわ鉄道線とハピラインふくい線の両線が乗り入れる重要な駅です。石川県最西端かつ最南端の駅という地理的な特徴も持ち合わせています。

経営分離と相互直通運転

2024年3月16日、北陸新幹線金沢駅―敦賀駅間の延伸開業に伴い、北陸本線はIRいしかわ鉄道とハピラインふくいへと経営分離されました。大聖寺駅はその境界駅となり、金沢方面がIRいしかわ鉄道、福井・敦賀方面がハピラインふくいとなっています。駅施設自体はIRいしかわ鉄道が管轄しています。

この経営分離にもかかわらず、金沢駅以西と福井駅以北は現在も一体運用されており、多くの列車が相互直通運転を行っています。乗務員は交代することなく、通しで運転を担当します。県境付近に位置する駅の中で、場内信号機がある大聖寺駅が境界駅として選ばれたのは、列車運行管理上の都合によるものです。

歴史と変遷：特急停車駅とローカル線の分岐点

北陸本線時代、大聖寺駅は米原駅から見て石川県最初の駅であり、かつては特急列車も停車する主要駅でした。しかし、加賀温泉郷へのアクセスを巡る競争の中で、特急停車駅は加賀温泉駅に一本化された時期もありました。その後、急行列車の廃止に伴い、再び特急が停車するようになりましたが、停車本数は限られていました。

1897年の開業以来、大聖寺駅は長きに渡り地域住民の足として機能してきました。1965年にはみどりの窓口が設置され、1982年には貨物取扱が廃止され旅客駅となりました。ICOCAの利用開始（2017年）、みどりの窓口の終日無人化（2021年）、そして駅舎の複合施設化（2022年）と、時代とともに変化を遂げてきました。加賀市が駅舎を取得し、「大聖寺ゲートウェイ」として整備されたことで、駅周辺の活性化にも貢献しています。

北陸鉄道山中線との接続

大聖寺駅は、かつて北陸鉄道山中線と接続していました。山中温泉や山代温泉へのアクセスを提供する重要な役割を担っていました。しかし、1971年に加南線全線廃止に伴い、山中線との接続も解消されました。現在でも、駅構内にはかつての線路跡やホームの一部が残っており、歴史を物語っています。

駅構造と周辺環境

大聖寺駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、計2面3線のホームを持つ地上駅です。駅舎は1番のりば側にあり、島式ホームへは跨線橋で連絡しています。改札内は無人駅となっています。

駅周辺には、加賀市役所、加賀市民会館、加賀郵便局、大同工業本社工場、ホテルなど、さまざまな施設が立地しています。また、国道8号や国道305号も近くを通っており、交通の便も良好です。さらに、北鉄加賀バスの路線バスも利用可能です。

利用状況

2021年度の1日平均乗車人員は約751人とされています。近年、利用者数は変動を見せており、地域社会の動向を反映していると言えるでしょう。

まとめ

大聖寺駅は、歴史と現代が交錯する、魅力的な駅です。北陸新幹線の延伸、経営分離、そして駅周辺の再開発など、数々の変化を経験しながらも、地域住民の生活を支え、観光客の玄関口としての役割も担っています。今後、どのように発展していくのか、注目していきたいです。

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