大英帝国王冠

大英帝国王冠

大英帝国王冠は、英国の戴冠宝器の一部として重要な位置を占めており、その美しいデザインと貴重な宝石で知られています。この王冠は、聖エドワード王冠と似たデザインを持ち、4つのクロスパティーと4つのフルール・ド・リスが交互に配置されています。また、上部には4本のハーフ・アーチが独特の形状を形成し、内側は白貂の毛皮で縁取りされたベルベットの帽子が使われています。さらに、大英帝国王冠には合計2,868個のダイヤモンド、273個の真珠、17個のサファイア、11個のエメラルド、5個のルビーがあしらわれており、その華やかな外見は圧倒的な存在感を放っています。

主な宝石

王冠の頂点には「聖エドワードのサファイア」と呼ばれる重要な宝石が嵌め込まれており、これはエドワード懺悔王の指輪から取られたサファイアであるとされています。また、正面には「黒太子のルビー」として知られる宝石が配置されており、実際にはスピネルの一種です。さらに、王冠の前面にはカリナンIIという大きなダイヤモンド、背面には104カラットの「ステュアートのサファイア」が輝いています。このように、大英帝国王冠は数多くの歴史的で象徴的な宝石を含んでいます。

使用シーン

大英帝国王冠は主に戴冠式の際に用いられますが、実際には式の最中には聖エドワード王冠を使用することが一般的です。ただし、ヴィクトリア女王とエドワード7世は、王冠が重すぎると感じたため、式中に大英帝国王冠を使用しました。また、イギリス議会開会式の際にも、この王冠が用いられます。伝統として、国王はバッキンガム宮殿を出立する前に、王冠と宝石類を容器に収めて馬車で運ばせます。

歴史

現在の大英帝国王冠は、1937年にジョージ6世の戴冠式のためにガラードの宝石職人たちによって制作されました。この王冠は以前に作られた大英帝国王冠の忠実な複製ですが、軽量化と装着感の向上を図っています。エリザベス2世の戴冠式時には、見た目がより女性的になるよう改修され、1インチほど高さが低くなりました。

管理と保管

この王冠はその重さから、王族がしばしば私邸で着脱を行うことがあります。議会開会式のために出席する際には、王冠に慣れるための準備を行い、エリザベス2世女王は朝食を摂りながらこの王冠をつけたまま新聞を読んでいたという逸話も残っています。普段はロンドン塔の宝物館で保管されており、その他の王室祭具と共に展示されています。

大英帝国王冠は、その製作理由から最も頻繁に使用されるため、新しいものと交換されることがあります。これは年数や重さ、王族の嗜好、傷みなどの要因によるもので、外観の修繕や改修が急務とされています。その重厚な存在感は、イギリスの歴史と伝統を物語っています。

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