大草原の小さな家

大草原の小さな家

『大草原の小さな家』（英語: Little House on the Prairie）は、ローラ・インガルス・ワイルダーが1935年に発表した自伝的児童小説であり、『小さな家』シリーズの3作目にあたります。前作『大きな森の小さな家』に続く物語ですが、『農場の少年』とは直接的なつながりはありません。本作は、インガルス一家がカンザス州の大草原で過ごした数ヶ月間を描いています。

あらすじ

物語は、父チャールズが、政府が白人入植者に領土を開放するという情報を聞きつけ、インディアン準州にログハウスを建てる場面から始まります。ローラは、開拓地での生活を通して、自然の厳しさ、家族の温かさ、そして当時の社会情勢を子供の目を通して体験していきます。

前作とは異なり、本作ではインガルス一家は困難と危険に直面します。一家はマラリアに感染し、病と闘う日々を送ります。また、彼らの家はオーセージ族の土地に建てられていたため、インディアンとの接触も多くなります。母キャロラインはインディアンに対して警戒心を抱きますが、ローラは彼らに対して好奇心と親近感を抱きます。

インディアンたちが川沿いに集まり始め、入植者たちは襲撃を恐れますが、父チャールズと親交のあったオーセージ族の酋長のおかげで、事態は悪化せずに済みます。しかし、物語の終盤、インディアン準州から白人入植者を排除するために米軍が派遣されるという知らせが届き、インガルス一家は住み慣れた家を離れることを決意します。

歴史的背景

インガルス一家は1868年にウィスコンシン州からカンザス州に移住し、1869年から1870年までそこで生活しました。ローラはカンザスへの移動中に生まれたとされています。しかし、ワイルダーは、父チャールズが得た情報が誤っており、彼らの屋敷がオーセージ・インディアン居留地にあったと述べています。インガルス一家は土地を離れ、ウィスコンシンに戻り、その後ミネソタへ移住しました。

批評

『大草原の小さな家』は、出版当時から高い評価を受けました。ヴァージニア・カーカスは、「良きアメリカ文学、そして一流の物語」と評しています。しかし、2018年には、米国図書館協会の児童サービス部会が、本作に人種差別的な表現が含まれているとして、「ローラ・インガルス・ワイルダー賞」から彼女の名前を削除することを決定しました。

日本語訳

古川原（訳）『草原の小さな家 少女とアメリカ・インディアン』新教育事業協会、1950年
恩地三保子（訳）『インガルス一家の物語2 大草原の小さな家』福音館書店〈世界傑作童話シリーズ〉、1972年 のち文庫
こだまともこ・渡辺南都子（訳）『小さな家シリーズ 大草原の小さな家』講談社〈青い鳥文庫〉、1982年
中村凪子（訳）『大草原の小さな家』角川書店〈角川文庫〉、1988年
* 足沢良子（訳）『大草原の小さな家』草炎社〈大草原の小さな家シリーズ〉、2005年

『大草原の小さな家』は、開拓時代のアメリカを舞台にした、少女の成長物語であるとともに、家族の絆、自然との共生、そして社会の矛盾を描いた作品として、今もなお多くの読者に愛されています。

もう一度検索