大蔵経寺

大蔵経寺について

大蔵経寺は、山梨県笛吹市石和町松本に位置する真言宗智山派の寺院です。山号を松本山と称し、本尊には不動明王を祀っています。この寺は、甲斐真言宗における重要な七つの学問所のうちの一つであり、地域における信仰の中心地として、また貴重な文化財を今に伝える場所として知られています。

歴史

寺伝によれば、大蔵経寺は722年に行基によって開かれたとされています。甲府盆地の北端、大蔵経寺山の南麓に位置し、この地域は古代から信仰の地として栄えてきました。山麓には古墳時代の積石塚が残り、山梨岡神社など歴史ある神社も点在しています。室町時代には、観道という人物によって再興され、その際に「松本寺」から「大蔵経寺」へと改称されました。この改称は、武田信成が寺に大蔵経を奉納したことに由来します。また、境内には、明治時代初期に大小切税法に反対した島田富重郎の墓所があります。

文化財

大蔵経寺は、多くの貴重な文化財を所蔵しています。

国指定重要文化財

絹本著色仏涅槃図：釈迦の入滅を描いたこの仏涅槃図は、室町時代の作品であり、中国宋元画の影響が見られます。画僧霊彩によって1435年に製作され、その後、駿河国の浄居禅寺を経て大蔵経寺に伝わりました。山梨県内には他にも同時期の仏涅槃図がいくつか残されていますが、この作品はその中でも特に重要なものとされています。

山梨県指定有形文化財

絹本着色両頭愛染明王像：この絵画は、南北朝時代の密教美術を代表する作品です。愛染明王と不動明王が合体した両頭愛染明王を描いており、中央に明王像、上部両端に大日如来と五鈷杵、下部に二童子が描かれています。この像は、中世における息災調伏の願いを込めて制作されたと考えられています。
絹本着色不動明王二童子像：室町時代の密教絵画であり、不動明王と二童子が描かれています。不動明王が中心に配置され、足元に二童子が描かれています。
絹本着色騎獅不動明王八大童子像：室町時代の密教絵画で、獅子に乗った不動明王と八大童子を描いています。この図像は、鎌倉時代の仏教図像集『覚禅鈔』に由来するとされていますが、他に類例が少ない貴重なものです。

その他の情報

大蔵経寺は、甲斐百八霊場の一つとしても知られています。また、笛吹市の文化財ガイドマップにも掲載されており、地域の歴史と文化を伝える重要な場所です。



この寺は、その歴史的背景、文化財の価値、そして地域における役割を通して、訪れる人々に深い感動と知識を与えてくれるでしょう。

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