大谷地バスターミナル

大谷地 バスターミナル

北海道札幌市厚別区大谷地東3丁目2-1に所在する大谷地バスターミナルは、国の定める自動車ターミナル法に基づく一般バスターミナルとしての機能を持つ交通施設です。札幌市では独自の分類として「乗継バスターミナル」に位置づけられています。このターミナルは、札幌市東部の交通網において重要な役割を担っています。

運用を開始したのは1982年（昭和57年）3月21日です。開設当初から札幌市が設置者であり、管理運営も市が直接行っていました。市の一般会計から財源が支出される形で運営されていましたが、管理運営の民間移譲が検討された結果、2010年（平成22年）4月1日からは西新サービスという建築物管理業の企業（日立ビルシステムの子会社）が管理運営を担っています。このバスターミナルは、札幌市がかつて直接設置・管理していた数少ない施設の一つでした。例えば、かつては発寒南バス発着場も同様の形式でしたが、2015年（平成27年）には市交通局へ移管されています。一方、大通バスターミナルなど、後に市による設置・管理に戻された施設も存在します。札幌市の財政統計における使用料改定の項目に名称が記されていることからも、市が設置者である実態が確認できます。

ターミナルの利用状況を見ると、2021年（令和3年）12月の平日における非公示便を除く発着便数は、感染症流行による一時的な運休便を含めて一日あたり553便に達しました。これは、地域の移動需要を支える規模を示しています。

施設への出入りは、地上レベルでは東側が唯一の出入り口となります。ターミナルの地下部分は、札幌市営地下鉄東西線の大谷地駅と地下通路で直結しており、駅へのスムーズな乗り換えが可能です。また、商業施設のキャポ大谷地へも同様に地下で連絡しています。地下通路からバスターミナルへ向かう際には上りエスカレーターが設置されていますが、地下通路へ下るエスカレーターは2025年現在も設置されておらず、そのためのスペースのみが確保された状態です。バリアフリーの観点では、エレベーター設置の構想が2018年頃からあり、2023年の運用開始を目指していましたが、2025年 1月現在、地下通路と大谷地駅を結ぶエレベーターの工事は進んでいるものの、地下通路とバスターミナル間を結ぶエレベーターはまだ着工されていません。このため、車椅子を利用して大谷地駅からバスターミナルへ向かう、あるいはその逆の移動を行う場合は、地上に出てターミナルの地上出入口と大谷地駅の2番出口間を移動する必要があります。

ターミナル内部には、1番から10番までの乗降場が配置されています。各乗降場はバスの到着を感知する自動ドアによって仕切られています。特別な降車専用のスペースは設けられておらず、バスから降りる際は、乗車と同じくいずれかののりばを利用します。

施設内のテナントとしては、現在、傘や靴などの修理を行う「シュリーの店」や、「北海道中央バス大谷地総合案内所」が営業しています。過去には立ち食いそば・うどん店、喫茶店、キヨスクなども入居していましたが、これらは現在閉店しています。また、「北都交通案内所」も2009年8月20日をもって業務を終了しています。

大谷地バスターミナルから発着する代表的な路線の一つに、新千歳空港連絡バスがあります。この路線は北海道中央バスと北都交通が共同で運行しており、空の玄関口とのアクセスを担っています。その他にも、道内主要都市を結ぶ都市間バスが多数発着しています。例えば、帯広、釧路、函館、苫小牧、室蘭、登別、浦河、根室、えりもなど、広範囲への高速バスが利用可能です。また、札幌市内の南部や郊外、近隣自治体（北広島、長沼、南幌など）を結ぶ地域路線も充実しており、日常生活における重要な移動手段を提供しています。主な乗り入れ事業者には、北海道中央バス、ジェイ・アール北海道バス、道南バス、北都交通、阿寒バス、くしろバス、十勝バス、北海道拓殖バス、函館バス、根室交通などがあり、多様な方面へのネットワークを形成しています。

沿革としては、開業後、2001年には当時唯一乗り入れていた札幌市営バス路線が中央バスへ移管され、市営バスの乗り入れがなくなりました。2009年には北都交通の案内所が閉鎖。2016年には清田区公共交通サービスアップ協議会によってターミナル内の案内表示などが更新されました。比較的新しい出来事としては、2023年10月1日、札幌急行線の廃止に伴い、夕張鉄道（夕鉄バス）の乗り入れが終了しています。

大谷地バスターミナルは、札幌市厚別区における公共交通の中核をなし、地域住民の日常的な移動はもとより、都市間移動や空港アクセスにおいても重要な役割を果たしています。地下鉄駅との連携により、広範なエリアからのアクセスを可能にしていますが、一部バリアフリー設備の整備が待たれる状況です。今後も札幌市東部の玄関口として機能していくことが期待されます。

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