大谷崩

大谷崩の概要

大谷崩（おおやくずれ）は、静岡市葵区に位置する大谷嶺の南斜面に形成された山体崩壊地です。この崩壊は1707年の宝永地震によって引き起こされました。大谷崩は、1858年の富山県の鳶山崩れや、1911年の長野県の稗田山崩れと並んで、日本の三大崩れとされています。

位置と歴史

大谷嶺は標高1999.7mで、安倍川の水源の一つでもあります。実は、崩壊地については1530年の文献にその存在が記載されています。「大谷崩」という名称が初めて文献に登場したのは、1709年のことです。文書には「大谷崩という崩壊地があり、さらに下流には長さ1里、横幅10丁の池がある」との記載があります。

崩壊の影響

この地での山体崩壊によって、推定で1億2000万m³の土砂が放出されました。この土砂は三河内川を堰き止め、当時は大池を生成しました。この大池は明治の初めまで存在していたとされています。また、土砂によって形成された滝は「赤水の滝」と呼ばれ、その名の通り赤い色の水を流し続けていました。

現在でも、大雨が降った後には土砂崩落が繰り返され、崩壊した山体の迫力を感じることができます。春には新緑、秋には紅葉、冬には雪化粧の美しい景観が広がり、観光客が訪れる人気のスポットとなっています。

登場する作品

大谷崩は文学にも影響を与えており、幸田文のエッセイ『崩れ』は、著者が72歳の時にこの地の迫力に圧倒されて全国の崩壊地を巡った記録を綴っています。この本は、講談社文庫から1994年に出版されました。また、幸田の孫である青木奈緒も『動くとき、動くもの』というエッセイを執筆しており、親しみのある内容として大谷崩を含む地域の著作とされています。

自然の魅力と観光

大谷崩は単なる崩壊地に留まらず、その美しい風景から多くの人々に訪れられています。自然の厳しさを実感できると同時に、四季折々の表情を楽しむことができるため、観光地としても評価されています。春には花々が咲き誇り、秋には紅葉が美しく彩り、冬には雪に包まれた静寂な風景が広がります。

このように、大谷崩はその歴史、自然、文学において多くの魅力を兼ね備えた場所として、今後も多くの人々を惹きつけることでしょう。

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