鳶山崩れ

鳶山崩れについて

鳶山崩れ（とんびやまくずれ）は、1858年4月9日（安政5年2月26日）に発生した大規模な山体崩壊で、飛越地震を引き金に起こりました。これは立山連峰の鳶山において発生し、地域の地形に大きな変化をもたらしました。鳶山は大鳶山と小鳶山のふたつのピークを有していましたが、この崩壊によってその姿は失われ、洪水のように流れ込んだ土砂が立山カルデラ内に大量に蓄積されました。

地震とその影響

1858年の飛越地震は、越中・飛騨国境付近の跡津川断層を震源としており、そのマグニチュードは7.1と推定されています。この地震によって、立山連峰の地質が激しく変化し、多くの土砂が流出しました。特に、立山温泉地域では湯治客や作業員が土石流に巻き込まれる痛ましい事故が発生し、多くの命が奪われました。

地震によって引き起こされた被害は、その後の河道閉塞にもつながりました。常願寺川や神通川、黒部川では河道が塞がり、特に常願寺川は余震によって決壊、下流地域に大きな被害が及びました。このようにして、鳶山の崩壊は地元の人々に深刻な影響を与えました。

崩壊土砂の量

鳶山崩れの規模は、全体で約4.1億m³の土砂が流れ出たとされており、これまでに確認されている日本国内の地震による山体崩壊の中では最大規模です。その後も山から流れ出た土砂による災害が発生し、立山カルデラでは現在も引き続き砂防工事が行われています。21世紀初頭の時点では、カルデラ内に残っている土砂の量は約2億m³に達し、これがすべて流出した場合、富山平野は約2mの土砂で覆われる計算になります。

このように、鳶山崩れはただの自然災害に留まらず、地理的な変化や地域住民の生活に大きな影響を与えた重要な出来事です。日本三大崩れの一つとして知られる鳶山崩れは、その発生から164年が経過した今も、自然の力の厳しさを教えてくれる存在です。

関連文献

さらなる情報を得るためには、伊藤和明の著作『飛越地震と立山鳶崩れ』などを参考にすると良いでしょう。このような資料は、過去の災害を振り返り、今後の防災対策を考える上で貴重な知見をもたらすものです。また、鳶山や立山連峰の自然環境を理解するためにも、地域の地理や歴史に対する知識が必要でしょう。

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