丁

丁（てい、ひのと）

「丁」は、中国の古代思想に由来する概念である「十干（じっかん）」において、第四番目に位置する要素です。陰陽五行説の観点からは、五行のうち「火」の属性に属し、その「陰」の性質を帯びるとされています。日本での訓読みである「ひのと」という呼び名は、「火の弟（おとうと）」を意味することに由来しており、この陰陽五行説における位置づけが反映されています。

漢字の成り立ち

「丁」という漢字の起源は、人間の頭部をかたどった象形文字にあると考えられています。しかし、この漢字が十干の四番目を指す単語として用いられるようになったのは、漢字本来の意味とは直接的な関係がなく、同じ音を持つ別の概念に文字を借りて当てる「仮借（かしゃく）」という方法によるものです。

序列としての「丁」

十干が何かの順序や階級を示すために使われる場合、「丁」は四番目を意味します。かつて日本の学校教育などでは、生徒の成績を「甲（こう）・乙（おつ）・丙（へい）・丁（てい）」の四段階で評価する慣習があり、この序列において「丁」は最も低い階級や評価を表すものとして用いられていました。

暦と「丁」

暦のシステムにおいて、「丁」は特定の年を示す要素としても機能します。西暦の年数を見た場合、その下一桁が「7」である年が「丁の年」と定められています。例えば、2017年や2027年などがこれにあたります。また、暦の上では、「丁」の年は「強圉（きょうぎょ）」という別称でも呼ばれることがあります。

化学命名法における応用

中国語圏における有機化合物の命名法では、「丁」の文字が特定の分子構造を示す接頭辞として使用されることがあります。これは、主に炭素原子が4つ連なった構造を持つ化合物や官能基（例えば、ブタンやブチル基など）に対して用いられる慣習です。これは、十干が順序だけでなく、数を暗示する隠喩としても捉えられることがあるためと考えられます。

形状としての「丁」

「丁」という漢字の形、特に片方の端で直角に交わる二つの線分の組み合わせは、そのまま具体的な物の形状を表す言葉としても使用されます。このような形状を「丁字形（ていじけい）」と呼び、特に道路がこの「丁」の字の形のように交わる場所を「丁字路（ていじろ）」と称します。

丁字路の定義

「丁字路」は、日本の道路交通法においても交差点の一種として明記されています。同法第2条第5項における「交差点」の定義では、「十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路…の交わる部分をいう」とされており、「丁字路」が法的に定義された一般的な道路の交差形態であることが確認できます。近年では、「丁字路」の形状がアルファベットの「T」に似ていることから、「T字路（てぃーじろ）」という呼び方で通じることも少なくありません。

対となる要素と恵方

十干はしばしば陰陽のペアで捉えられます。「丁」と対になる、すなわち反対側に位置する十干は「壬（じん、みずのえ）」です。また、暦における縁起の良い方角である恵方との関連では、「丁」が関わる年の恵方は「北北西やや北」の方角とされており、これは角度に換算すると約345度に相当します。

「丁」を含む干支

十干は、十二支と組み合わされることで、六十種類の干支（えと）を形成します。六十干支のうち、天干（最初の要素）が「丁」である組み合わせは以下の六つです。

丁卯（ひのとう）
丁丑（ひのとうし）
丁亥（ひのとい）
丁酉（ひのととり）
丁未（ひのとひつじ）
丁巳（ひのとみ）

これらの干支は、年や日などの周期を示す際に用いられます。

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