大達吉五郎

大達 吉五郎について

大達 吉五郎（おおだて きちごろう、1883年8月5日 - 1958年5月31日）は、大阪府出身の著名な元大相撲力士です。彼の本名は草野吉太郎で、年寄名跡としては4代目大鳴戸を名乗りました。吉五郎は、その力士としてのキャリアと共に、数々のドラマチックなエピソードで知られています。

略歴

大達は大阪府東成郡天王寺村で生まれ育ちました。彼は朝日山部屋に入門し、1909年に幕下付出で初土俵を踏みました。1910年の夏には、十両に昇進し、1913年にはついに入幕を果たしました。

彼の体格は169センチ、108キロと、相撲界一般では小柄な部類に属しましたが、得意技である右四つややぐら投げを駆使して、強力な相手にも果敢に立ち向かう姿勢が求められました。特に1917年春には、2枚目で6勝2敗1分1預という素晴らしい成績を収め、翌場所には小結へ昇進しました。このように、彼は上位に定着し続けました。

1919年の夏には3枚目として大関宮城山を破り、無敗で7勝の成績を記録しました。この功績を経て、1920年春には関脇に昇進しました。

しかし、1922年春には小結として不振に陥り、2勝4敗の成績を残したのを最後に引退を果たしました。その後、3代目大鳴戸（元凰車）が廃業する竜神事件が発生し、1925年に年寄名跡の大鳴戸を襲名しました。さらに、勝負検査役としても相撲界で活躍しました。

1927年に東西合併が行われると、彼も年寄として相撲協会に加入し、その後長い間平年寄として在籍を続けました。1958年5月31日、74歳でこの世を去りました。彼は、東西合併後に加入した大阪相撲の年寄としては最後の存在であり、静かに相撲界から姿を消しました。また、彼の背中には鯉の刺青があったと言われています。

エピソード

大達の生涯には数多くの興味深いエピソードが存在します。その一つに、1921年頃の巡業での出来事があります。大達は病気のために巡業を休んでいましたが、途中から一行に合流することになりました。彼は三重県桑名へ向かう際、「ゲンキニナッタツギノスモウハドコカ」と電報を打ちました。

すると、一行から「コノチキョウハネダチ アスヨコスカ」と返信がありました。大達は横須賀へ行くものだと考え、一路向かったものの、実際にはどこにも相撲場がありませんでした。再び確認の電報を打つと、「キヨウアスヨコスカ スグコイ」とのメッセージが届きました。

ところが、組合の行司が大阪の自宅に手紙を送ったため、妻は浮気をしているのではないかと疑いを持ってしまいました。大達はその後、気が滅入ってしまい、料亭で散財することになりました。金が尽きた時、「ワシコノチデマイゴ 100エンスグオクレ」と頼みましたが、受け取った返信は「シラナイヨ」や「ホントニマイゴダ タスケテクレ」などで、なかなか状況が改善されませんでした。

やがて、妻から来た手紙によると、横須賀は愛知県幡豆郡横須賀村であることが判明しました。結局、彼が興行中の一行に追いついたのは、家を出てから6日後のことでした。このエピソードは、追跡の難しさや、思わぬ誤解から生じた笑い話として大達の記憶に残ることとなりました。

まとめ

大達吉五郎は、力士としてだけでなく、そのユーモア溢れるエピソードによっても多くの人々に愛された存在でした。相撲界の歴史の中で、彼の功績や個性的なキャラクターは今も語り継がれています。

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