大野ダム (京都府)

大野ダムの概要

大野ダム（おおのダム）は、京都府南丹市美山町樫原に位置し、由良川本流上流部に建設された一級河川による重力式コンクリートダムです。このダムは、治水と出力11,000キロワットに及ぶ水力発電を目的としており、内務省から建設省近畿地方建設局（現在の国土交通省近畿地方整備局）によって建設されました。京都府内初の多目的ダムであり、完成後は京都府に管理が移管されました。ダムによって形成された人造湖「虹の湖」は京都丹波高原国定公園に指定されており、ダム湖百選にも選ばれています。

地理的背景

大野ダムが位置する由良川は、京都府北部を流れ、流域面積は約1,880平方キロメートルで、京都府全体の面積の約37％を占めています。由良川は三国岳付近で水源を発し、南丹市を西に流れ、最終的には若狭湾に注ぎます。この川には他にも和知ダム、由良川ダムが存在しますが、大野ダムは最上流部に位置しています。ダム建設当初は北桑田郡大野村内に位置し、後に周辺自治体との合併を経て南丹市となりました。

建設の歴史

大野ダムの計画は1925年に始まり、1937年には予算化されました。戦時中に計画は中断しましたが、1943年に内務省によって本格的な建設が開始されました。ダム工事は戦後に再開され、特に1953年の台風13号による洪水を契機に治水計画が強化されることとなります。また、ダムは水力発電も目的としており、1949年には再度計画が見直されました。

洪水調節と水力発電

大野ダムの主な機能には洪水調節と水力発電があります。ダムによる洪水調節は、治水基準を維持しながら上流からの流量を管理することを目的としており、下流の流量を適切に調整する機能を持っています。水力発電では、ダム発電所が1万1,000キロワットの最大出力で、地域に電力を供給しています。

虹の湖

1961年に完成した大野ダムによって形成された虹の湖は、地域の観光名所として知られています。湖畔は春に桜、秋には紅葉を楽しめるスポットであり、毎年4月にはさくら祭り、11月にはもみじ祭りが開催されています。また、人々が散策を楽しむための遊歩道やアウトドア施設も整備されています。

補償問題と地域振興

ダム建設に伴い39戸の住民移転が必要とされ、反対運動が起こりましたが、最終的には補償内容について合意が形成されました。その後、地域振興策が講じられ、新たな農業の育成や観光開発が進められています。

まとめ

大野ダムは、治水と水力発電の両面で地域に貢献しており、その歴史と機能は今も多くの人々に支持されています。自然環境との共生を考えつつ、観光資源としても利用されているこのダムは、地域振興の重要な拠点となっています。

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