大野市郎

大野市郎の人生と業績

大野市郎（おおの いちろう、1910年11月25日 - 1988年2月9日）は、日本の昭和期に活躍した実業家および政治家であり、衆議院議員を7期務めたことで知られています。彼の人生は新潟県長岡市で始まりました。彼は大野屋旅館の主である大野甚松の孫として生まれ、旅館業に親しみながら成長しました。

新潟県立長岡中学校を卒業後、1932年に兵庫県立神戸高等商業学校を卒業し、箱根富士屋ホテルでの勤務を経て、1936年に静岡県熱海市で「ホテル大野屋」を開業しました。その後1940年には父の後を継ぎ、大野屋本店の社長に就任します。地元熱海の発展にも貢献し、熱海市議会の議員を務め、1950年には熱海商工会議所の会頭に選出されました。また、日本温泉協会の会長を務めるなどして、観光業界にも強い影響を持ちました。

大野市郎は政治の道にも進みます。佐藤栄作の秘書としての経験を経て、1952年に自由党から衆議院議員に立候補し、初当選します。その後、彼は何度かの落選を経験しながらも通算で7回当選を果たしました。彼の政治活動の中で、農林政務次官や衆議院運輸委員長などの役職を歴任しましたが、田中角栄との派閥内での競争により、選挙戦では苦戦を強いられることもありました。

当初は佐藤派に所属していましたが、所属する派閥の中で田中角栄とは同じ選挙区にあったため、選挙での優位性を維持することが難しかったのです。特に、地元からの支持を受けるための陳情対応においても、票の少ない市町村出身者を冷遇する傾向があり、これがさらなる影響を及ぼすこととなりました。この結果、田中への票の流入を招き、自身の選挙戦における厳しい状況を招く要因となりました。

1972年には保利茂とともに福田派に移籍しますが、1976年の第34回[[衆議院議員総選挙]]では落選し、政治家としてのキャリアに終止符を打ちました。1981年には春の叙勲で勲二等旭日重光章を受章し、その功績を称えられました。彼は1988年に77歳で死去し、正四位に叙されました。

大野市郎の家族についても触れておくと、長男は大野屋の社長であり、国際観光旅館連盟の副会長や日本温泉協会の常務副会長を歴任しました。しかし、彼は2007年に心臓発作で生涯を閉じました。次男は作曲家であり、ミュージシャンの大野雄二として知られています。彼の人生と業績は、温泉観光業や地域経済に大きな影響を与え、今日までその足跡が残っています。

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