大野村 (神奈川県)

大野村の歴史と概要

大野村（おおのむら）は、神奈川県高座郡にかつて存在した村です。1941年4月29日、この村は周辺の2町6村と合併して新たに相模原町となり、現在は相模原市の中央区と南区の一部として残っています。

位置と地理

大野村の古い集落は境川沿いの段丘下に築かれていました。江戸時代には、上流に位置する上矢部村や淵野辺村などが成立していました。同村の西側には相模野台地が広がっており、その地域は水が乏しかったために荒れ地と化していました。江戸時代初期の寛文年間には新田開発が行われ、境川沿いの村々が次々と成立していきました。特に、矢部新田が最初に開発されたとされ、その後も淵野辺新田や大沼新田などが開かれ続けました。明治維新以降、台地の開拓は続き、1880年から1888年にかけて中和田新開、篠原新開、谷口新開、中村新開が整備されました。

村の設立

1889年4月1日、町村制施行に伴い、上矢部村、矢部新田村、淵野辺村、鵜野森村、上鶴間村が合併し、新たに大野村が設立されました。その面積は25平方キロメートルであり、高座郡内では最大の村として知られていました。人口は、1890年時点で3,888人、1910年には4,640人、1941年には11,745人に達しています。

交通の発展

村域には鉄道が敷設され、1908年には横浜鉄道（現：JR横浜線）が開通し、淵野辺駅が設けられました。1927年には小田急の小田原線が開通し、更に1929年には江ノ島線が敷設され、東林間都市駅が新たに開設されました。これにより、村は交通の要所となる一方、農村の性格を大きく変えることはありませんでした。

軍事化とその影響

1936年以降、陸軍の施設が村内に次々と移転・開設され、村は次第に軍都としての顔を強めていきました。特に、1938年には臨時東京第三陸軍病院が設立され、軍事的な役割が増大しました。

合併の経緯

1941年4月29日、相模原町が発足し、相原村、麻溝村、新磯村、大沢村、大野村、上溝町、座間町、田名村が合併しました。合併後は相模原町役場が設置され、旧大野村役場は大野出張所に変わりました。その後、1948年に相模原町役場の出張所は支所に改称され、大野中出張所となりました。

結論

大野村は、歴史的な背景や周辺との関係性を通じて、地域社会の変遷を物語っています。それは、農村から軍事の拠点へと発展した様相や、最終的には相模原市の一部として新たな歴史の一環を担っています。今日の相模原市においても、大野村の名残を感じさせる場所が数多く存在しています。

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