大野郡 (大分県)

大野郡：古代から現代まで続く歴史の軌跡

大分県豊後国に存在した大野郡は、2005年（平成17年）の平成の大合併により消滅しました。本稿では、古代からの郡域の変遷、江戸時代の藩政、明治以降の町村制施行、昭和期の合併による市町村の変遷、そして平成の大合併による消滅に至るまでの歴史を、詳細にたどります。

古代からの大野郡

天平12年（740年）頃成立とされる『豊後国風土記』には、豊後国の8つの郡の1つとして大野郡が記載されています。同書によれば、郡名は大部分が原野であったことに由来するとされています。その範囲は、現在の豊後大野市全域、臼杵市の一部（旧野津町）、佐伯市の一部（旧宇目町）にほぼ相当します。承平年間（931年～938年）の『和名類聚抄』には、大野郡に田口、大野、緒方、三重の4郷が存在したと記されています。

江戸時代の大野郡

江戸時代の大野郡は、主に臼杵藩の領地でした。臼杵藩は幕府から公認された藩で、その領地であった御朱印村279か村のうち、大野郡には143か村がありました。ただし、『旧高旧領取調帳』では、村の分割や枝村の村扱いなどにより、村数は158か村に増加しています。臼杵藩は、行政上の単位として村組を設け、数箇村をまとめて管理していました。村組の構成は時代や地域事情により変遷しましたが、文政6年（1823年）頃にはほぼ最終的な構成が定着したと考えられています。

近代以降の変遷

明治初年、大野郡は臼杵県と岡県の管轄下にありましたが、明治4年（1871年）の第1次府県統合により大分県の管轄となりました。明治8年（1875年）には大分県による村落統合が行われ、明治11年（1878年）の郡区町村編制法施行により、行政区画としての大野郡が発足しました。郡役所は市場村に設置されました。その後、明治22年（1889年）の町村制施行により、大野郡は複数の村に分割されました。

町村制施行後の合併と変遷

町村制施行後、大野郡では多くの合併が繰り返されました。明治35年（1902年）、三重村が町制施行し三重町となりました。明治36年（1903年）には犬飼村が町制施行し犬飼町となりました。昭和初期には、いくつかの村が合併し、大野町、野津町、緒方町などの町が誕生しました。昭和20年代以降も合併は続き、昭和30年（1955年）には、複数の町や村が合併し、新たな市町村が形成されました。この過程で、大野郡の一部地域は、隣接する郡に所属が変更されるケースもありました。

平成の大合併と大野郡の消滅

平成17年（2005年）1月1日、野津町が臼杵市に合併し、臼杵市の一部となりました。同年3月31日、三重町、清川村、緒方町、朝地町、大野町、千歳村、犬飼町が合併し、豊後大野市が発足しました。これにより、大野郡は消滅しました。

まとめ

大野郡の歴史は、古代からの郡域の変遷、江戸時代の藩政、明治以降の町村制施行、そして昭和、平成の大合併と、幾多の変遷を経て現代に繋がっています。この歴史を振り返ることで、豊後大野市の歴史や現在の姿がより深く理解できるでしょう。 本稿では、歴史資料に基づいて詳細に解説していますが、更なる詳細な情報は、参考文献に挙げた書籍やデータベースなどを参照することをお勧めします。

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