大阪市立姫里小学校

大阪市立姫里小学校は、大阪府大阪市西淀川区に所在する公立の小学校です。この学校の歴史は、隣接する大阪市立姫島小学校の分校として始まった後に独立開校するという、地域の発展や社会情勢と深く関わって展開してきました。

沿革

学校が建つ姫里の地は、かつて姫島と野里という二つの地区の一部でした。昭和時代の初め頃、この一帯で「姫ノ里」と名付けられた土地区画整理事業が行われ、交通の利便性が高まったことも相まって、新たな住宅地として発展し、地域の人口が急速に増加しました。

人口増加に伴い、近隣の大阪市姫島尋常高等小学校（現在の大阪市立姫島小学校）と野里尋常高等小学校（現在の大阪市立野里小学校）は児童数過密という問題を抱えるようになります。さらに、この地域の子どもたちは、学校へ通う際に交通量の多い阪神国道（現在の国道2号）や、当時地上を走っていた阪神本線の踏切を横断する必要があり、交通面での危険性が懸念されていました。こうした状況を受けて、地域住民からは安全に通学できる学校を地元に設置してほしいという強い要望が高まります。

こうした背景のもと、1940年に大阪市姫島尋常高等小学校の分校が設置され、地域の子どもたちが通学を始めました。当初の分校の校舎は、1934年の室戸台風からの復旧工事で姫島小学校に建てられた仮設バラックを転用したものでした。翌1941年には国民学校令が施行され、姫島尋常小学校は姫島国民学校と改称され、それに伴い分校も姫島国民学校の分校となります。

地域住民は学校を核としたまちづくりを進めることを考え、姫島と野里の一部の町会が合併し、阪神本線、阪神国道、淀川、大野川に囲まれた区域を管轄する形で、1942年に姫里連合町会が組織されました。この姫里連合町会の区域を新たな校区として、1942年 11月10日に大阪市姫里国民学校が独立した学校として開校します。開校時には、姫島校と野里校から初等科5年生までの児童547名が転入し、高等科も併設されました。

太平洋戦争の戦況が悪化すると、初等科の児童は1944年6月に現在の豊中市曽根で集団避難訓練を行った後、同年9月からは学童集団疎開に出発します。当時の大阪市では、行政区ごとに疎開先が指定されており、西淀川区の国民学校は四国地方（徳島県・香川県）へ疎開することになっていました。姫里国民学校の疎開先は徳島県板野郡松坂村（現在の板野町）となり、児童たちは現地の宿舎で共同生活を送りながら、松坂国民学校（現在の板野町立板野西小学校）の校舎を間借りして学習を続けました。一方、高等科の児童たちは1944年以降、近隣の工場へ勤労動員されました。1945年には大阪市佃国民学校の高等科が本校に統合されましたが、高等科は1946年に姫島国民学校の高等科へ統合される形で廃止されました。

1945年6月15日の第四次大阪大空襲では校舎が焼失するという大きな被害を受けました。戦災によって児童数も激減したため、終戦直後には廃校も検討されましたが、地域住民の熱心な学校再開の要望により存続が決定します。

1945年10月21日には、疎開していた児童たちが学校に戻り、授業が再開されました。授業再開にあたっては、戦災を免れた南区の道仁国民学校や大和田西国民学校から机や椅子を分けてもらったと伝えられています。そして、1947年の学制改革により、大阪市姫里国民学校は現在の大阪市立姫里小学校へと改称されました。その後も1950年のジェーン台風による校舎被災や、交通安全の表彰（1973年、1975年）、養護学級の設置（1980年）など、様々な出来事を経て地域の子どもたちの学び舎として現在に至っています。

現在の状況

大阪市立姫里小学校の通学区域は、大阪市西淀川区の姫里1丁目から3丁目にかけてです。卒業生は、原則として大阪市立西淀中学校へ進学します。

学校への主な交通アクセスは、阪神本線姫島駅から北西へ徒歩数分（約200m）、またはJR東西線御幣島駅から南東へ徒歩10分強（約800m）です。

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