大阪鉄道デハ100形電車

大阪鉄道デハ100形電車

大阪鉄道デハ100形電車は、現在の近畿日本[[鉄道]]（近鉄）南大阪線などで活躍した大阪鉄道（大鉄）が、1927年に製造した電車です。

概要

1923年に大阪天王寺駅（現在の大阪阿部野橋駅）までの路線を開通させ、大阪市内への乗り入れを果たした大鉄は、電車の運行が本格化するにつれて、従来のデイ1形・デロ20形では車両が不足するようになりました。この車両不足を解消するために製造されたのが、デハ100形でした。

形式名の「デ」は「電動車」を意味し、「ハ」は大鉄においてデイ1形から数えて3番目の電車形式であったため、いろは順で3番目の文字である「は」が採用されました。一般的な「デハ」（三等電動車）とは意味合いが異なります。

1927年8月に日本車輌製造で101 - 115の15両が製造されました。

車体

デハ100形の車体は、2年前に導入されたデロ20形と同様の半鋼製でしたが、車体長は15m級のデロ20形よりも長く、16.5mありました。前面は、デロ20形の丸みを帯びた非貫通5枚窓から、平妻非貫通3枚窓へと変更され、外観が大きく変化しました。側面の窓配置はデロ20形と同じく1D222D222D1でしたが、車体長が長くなった分、各扉の幅が拡大されました。また、デイ1形から引き続き、窓枠上部に装飾を施したアーチ型窓が採用されました。デロ20形に存在した床下補強用のトラスロッドは、本形式では廃止されています。

主要機器

電装品は[ウェスティングハウス・エレクトリック]製で、主電動機はWH-556J-6が4基搭載されていました。制御器も同じくWH製のAL形制御器が採用され、ブレーキはM三動弁によるM自動空気ブレーキでした。台車は汽車製造製のボールドウィン形BW84-25AAが使用されました。

改造・改番

1943年に大鉄が関西急行鉄道（関急）に合併された際、事故で廃車となっていた車両を除く13両は、モ5651形に形式番号が変更されました。

* デハ100形デハ101 - 103・115・105 - 113 → モ5651形5651 - 5663

1959年から1961年にかけて、両側貫通化、乗務員扉の新設、窓枠上部のアーチ型装飾の廃止、ウインドウシルの平帯化などの改造工事が実施され、外観が大きく変化しました。この際、モ5655 - モ5658の4両は片運転台化され、5655+5666と5667+5668の2両固定編成となりました。この4両は制御器を日立製MMC-HT-10Dに交換し、1C8M制御となり、偶数車のパンタグラフは撤去されました。この工事により、窓配置はdD222D222Ddに変更されました。

1966年からは、両運転台で残っていた車両のうち、養老線へ転属したモ5651・5663を除く6両についても、順次片運転台化されました。また、M三動弁であったブレーキについても、1969年頃からAMA（A動作弁のA自動空気ブレーキ）に改造されました。

運用・廃車

製造時より南大阪線系統で使用されていましたが、デハ104・114は1929年の衝突事故で大破したため、1935年に廃車となりました。モ5651形に形式変更された後の1948年には、モ5652が古市検車区で車体を焼損し、同年11月付で廃車となっています。1966年10月には、モ5651・5663の2両が養老線に転属しました。その後、1970年の養老線ATS導入の際にモ5659 - 5662が養老線に転属となり、先に転属していた2両のうち、モ5651は1970年、モ5663は1971年に廃車となりました。一方、モ5653 - 5658については、終始南大阪線系統で使用された後、1971年11月に廃車となっています。養老線に転属したモ5659 - 5662も、養老線車両の近代化に伴い、6421系・6431系などに置き換えられ、1979年 - 1980年1月に廃車となりました。

もう一度検索