大陳島撤退作戦

大陳島撤退作戦について

大陳島撤退作戦（だいちんとうてったいさくせん）は、1955年2月に実施された大規模な軍事作戦で、中華民国（台湾）が28,000名の住民を浙江省の大陳島から撤退させました。この際、アメリカの第7艦隊が支援し、作戦は「金剛計画」と名付けられました。大陳島から台湾に移住した住民は「大陳義胞」と称され、故郷を離れる選択を余儀なくされました。

背景

1949年、中国国民党は中国大陸での統治権を失い、台湾へ撤退しました。その後も、一部地域では中国共産党に対する軍事行動が続けられていました。しかし、1950年に入ると、舟山群島や海南島が共産党軍に奪取され、状態は厳しくなりました。朝鮮戦争の影響により、共産党側の注力が朝鮮半島に移る中、台湾側は反撃を試みましたが、成功には至りませんでした。

1954年には、中国共産党の人民解放軍が大陳島周辺に上陸し、軍事的拠点を築き始めました。これに対抗する形で中華民国軍も海軍艦艇や航空機を派遣しましたが、次第に劣勢に立たされました。1955年1月、人民解放軍は一江山島を攻撃し、守備隊は全滅。これにより、大陳島の防衛がさらに厳しくなり、中華民国政府は撤退を決定しました。

作戦計画

撤退作戦の準備が進められ、「金剛計画」が策定されました。作戦の支援にはアメリカ第7艦隊が関与し、主に空母部隊が編成されました。具体的には、エセックス、ヨークタウン、ワスプ、キアサージ、ミッドウェーといった空母が支援に駆けつけ、重巡洋艦や駆逐艦も同行しました。このような強力な支援が背景にあったことで、中華民国軍は撤退を実行に移すことが可能となったのです。

撤退の過程

1955年2月6日、アメリカ艦隊の護衛のもと、中華民国海軍の艦隊が基隆を出港しました。2月8日には住民の移送を開始し、最終的に2月11日に最後の住民と守備隊が撤退を完了しました。撤退に際して、国民党は家屋や漁船を徹底的に破壊し、数万もの地雷も島に設置しましたが、これはアメリカ側から懸念が示されたにもかかわらず、実行されました。

その後、人民解放軍が上陸し、無血で大陳島を占領しました。その際、撤退にともない一部住民が取り残されたとも言われています。

白団の関与

1954年11月、富士倶楽部のメンバーが台湾を訪れ、大陳島からの撤退について中華民国の幹部にアドバイスをしました。彼らは非戦略的な島を守ることのリスクを説明し、撤退の正当性を強調しました。

撤退後の住民の状況

大陳島からの撤退後、住民は基隆港に上陸し、政府から各地に住居が提供されました。現在でも「大陳新村」や「一江新村」といった名称が残り、当時の歴史を物語っています。高雄市には元住民によって蔣介石を祀る廟が建てられ、地域のシンボルとなっています。昨今では、撤去命令が出た銅像が保護されるなど、住民の思いが引き続き大切にされています。

このように、大陳島撤退作戦は、中華民国にとっての重要な歴史的出来事であり、その波紋は現在まで影響を及ぼしています。

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