大隅健一郎

大隅健一郎 - 日本の法学者

概要

大隅健一郎（おおすみ けんいちろう、1904年10月2日 - 1998年3月19日）は、日本における商法の権威として知られる法学者です。彼は山田正三の指導の下、京都大学で学び、その後、同大学で助手から教授へと昇進し、ついには名誉教授となりました。また、最高裁判所裁判官としても活躍し、数々の重要な判決にも関わりました。さらに、彼の功績は1973年の勲一等瑞宝章受章や1977年の日本学士院会員、1993年の文化勲章受章など多くの栄誉に結びついています。

学歴と経歴

愛知県蒲郡市に生まれた大隅は、旧制岡崎中学校を卒業した後、旧制第八高等学校（現・名古屋大学）を経て、1928年に京都帝国大学法学部を卒業しました。在学中には高等文官試験の行政科および司法科に合格し、その後、学部助手として教職に就きました。1930年に助教授、1931年からは経済学部にて商法総則や会社法を教え始めました。

大隅は、自身が商法を選んだ理由について「公法は苦手だったため、技術的な法律である商法に興味を持った」と述べています。1933年には「滝川事件」の影響で辞職し、立命館大学に移籍。その後、1934年には再び京都帝国大学に戻り、1938年には法学部の教授に昇進しました。

最高裁判所での活動

1953年に法学博士の学位を取得した後、1954年には京都大学法学部長を務め、1966年に名誉教授として退官しました。その後、1973年には最高裁判所裁判官に任命され、1974年に定年退官するまで、多くの商法関係の判決に関与しました。就任時には、裁判所の役割について「民主主義確立には裁判所が大きな役割を果たす」と発言し、裁判制度の重要性を強調しました。彼自身も、裁判官として学説が議論されていた問題に貢献できたことを幸せに思っていました。

教育と研究の継続

最高裁を退官した後、大隅は神戸学院大学で教授として教職を続けました。また、京都大学でも特別講義を行い、積極的に教育活動に参加しました。彼の図書館には、多くの書籍が寄贈され、大隅文庫が設けられました。1995年には公益信託大隅法学研究奨励基金を設立し、法学の発展に寄与しました。

趣味や業績

大隅の趣味は絵画鑑賞であり、法学にとどまらず広い教養を持っていました。彼の著作は商法や会社法における重要な参考資料となっており、彼の学説や理論は現在も多くの法学者に影響を及ぼしています。特に、合併の現物出資説や代理権の濫用に関する信義則説などは、多くの議論を呼び起こしています。

主な著書

大隅の影響力ある著作には、以下のような顕著な作品があります：

• - 『企業合同法の研究』（1935年）
• - 『会社法論』（1940年）
• - 『商法総則〔新版〕』（1978年）
• - 『商行為法』（1958年） - 今なお商法の古典として位置付けられています。

このように、大隅健一郎は日本における商法研究の先駆者として、後世に大きな足跡を残しています。

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