大隅神社 (大阪市)

大隅神社：淀川の恵みと歴史を受け継ぐ社

大阪市東淀川区大桐に鎮座する大隅神社は、古くからの歴史と数々の神々を祀る由緒ある神社です。主祭神は応神天皇ですが、別雷大神、天児屋根命、市杵島姫神、伊邪那美神、天照皇大神、素盞鳴尊、大山咋神、豊受毘売神、菅原道真公、宇賀御魂神と、実に多くの神々が祀られています。それぞれの神々が持つ力と歴史が、この神社に深みと重厚感を与えています。

神社の創建は、大隅島にあった応神天皇の離宮・大隅宮に遡ると伝えられています。天皇の崩御後、里人が祠を建てて天皇を祀るようになったのが始まりです。その後、淀川の大洪水の際に、賀茂明神の御神体が漂着し、合祀されたという興味深い伝承も残されています。この伝承は、淀川の氾濫という自然災害と、人々の信仰が深く結びついていたことを示唆しています。

歴史を紐解くと、元禄年間（1688～1703年）には荒廃していた時期もありましたが、宝永4年（1707年）に宮寺曹洞宗大道寺の社僧天順によって拝殿が再興されました。その後も、文政10年（1827年）には本殿の修復が行われるなど、人々の信仰によって大切に守られてきました。しかし、明治維新期の払い下げによって、かつて東西52間、南北63間あった広大な境内地は、周囲が民有地となり、現在の規模に縮小されました。

『摂津名所図会』には、大隅神社に関する記述が残されています。同書には、賀茂神祠と大祖皇神祠の存在が記されており、大隅神社の歴史の一端を垣間見ることができます。

明治5年（1872年）には村社に列し、明治6年（1873年）に現在の社名である「大隅神社」に改称されました。明治40年（1907年）には神饌幣帛料供進社に指定され、国家神道における重要な役割を担うようになりました。さらに、明治42年（1909年）には、春日神社、厳島神社、松山神社、伊邪那美神社、稲生神社、八幡神社、天満神社といった複数の神社が合祀され、現在の規模となりました。その後も、昭和15年（1940年）と平成8年（1996年）に社殿の改築が行われ、令和2年（2020年）には稲生神社（大桐3丁目）が合祀されました。昭和19年（1944年）には、一時合祀されていた松山神社が元の場所に戻っています。

これらの歴史的事実から、大隅神社は単なる神社ではなく、淀川の恵みと災害、人々の信仰、そして時代の変遷を肌で感じ、受け継いできた歴史の生き証人と言えるでしょう。多くの神々を祀り、地域の人々の信仰を集める大隅神社は、これからも東淀川区のシンボルとして、人々の生活を見守り続けることでしょう。

アクセスは、Osaka Metro今里筋線瑞光四丁目駅から東へ徒歩11分です。大阪市東淀川区の豊かな自然と歴史に触れたい方は、ぜひ一度訪れてみてください。

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